研究課題/領域番号 |
21K17707
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
土中 哲秀 名古屋大学, 情報学研究科, 助教 (30824982)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | グラフアルゴリズム / 計算複雑性 / パラメータ化アルゴリズム / 固定パラメータ容易性 |
研究実績の概要 |
グラフ最適化問題は工学,情報学,経済学をはじめとした様々な分野における自然な問題としてしばしば現れる.それらの多くは計算困難問題であることが知られているが,近似アルゴリズムやパラメータ化アルゴリズムなどの発展によって,ある程度効率的に解を求めることが可能になった.本研究では,近似技法やパラメータ化技法などのアルゴリズム設計技法を用いて,既存アルゴリズムの限界を打破する高速高精度アルゴリズム設計スキームの基盤構築を行う. 本年度は,パラメータ化アルゴリズムや多項式時間アルゴリズムなどの設計に注力し,主に以下の結果を得た. (1)解の多様性を考慮した多様性最大化問題に関する多項式時間アルゴリズムを設計した.具体的には,最短経路,重み付きマトロイド基,有向木,2部マッチングの多様性最大化問題に対する多項式時間アルゴリズムを与えた. (2)頂点完全性(Vertex Integrity)と呼ばれるパラメータを用いて,様々な問題に対してパラメータ化アルゴリズムを設計した.Imbalance問題,最大共通部分グラフ問題,容量付き頂点被覆問題などのグラフ最適化問題は,グラフパラメータの中で最も有名な木幅,あるいはそれを特殊化した木深度と呼ばれるパラメータに関しても固定パラメータアルゴリズムの設計が絶望的であることが知られていた.一方,さらに特殊化したパラメータである頂点被覆に関しては,固定パラメータアルゴリズムの存在が知られていた.本研究で用いた頂点完全性は,頂点被覆と木深度の間に位置するパラメータであり,これらのグラフ最適化問題を効率的に解くことのできるグラフの範囲を広げたことを意味する. (3)トリオ支配集合問題と呼ばれるよく知られている頂点支配集合問題を一般化した問題に対する頂点被覆,及び対辺除外被覆をパラメータとした固定パラメータアルゴリズムを設計した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に関する研究成果がこれまでに順調に得られているため.特に多様性最大化問題に関する研究や頂点完全性 (Vertex Integrity)と呼ばれるグラフパラメータを用いたパラメータ化アルゴリズムに関する研究が人工知能分野のトップカンファレンスであるAAAI2022や理論計算機科学分野の査読有国際学術誌であるTheoretical Computer Scienceに採択されているため.
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今後の研究の推進方策 |
現在までに本研究に関する研究成果が順調に得られているため,当初の方針を基本的には変えることなく進めていく.次年度以降は近似アルゴリズム設計等にも注力していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19の影響により,研究会・学会などの国内・海外出張が困難であったため.
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