研究課題/領域番号 |
21K17712
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
横田 勲 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (20761414)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 生物統計学 / 予測 / 生存時間解析 |
研究実績の概要 |
初年度である令和3年度は、研究全体を遂行する上で最も重要となる、基盤的な理論構築に取り組んだ。また、一部の成果は国内学会で発表を通して、様々な研究者と議論することができ、次年度以降、さらに研究を発展させるための道筋を整理できた。 1)境界付き平均生存時間(RMST)の推定量を構成する上で基礎となる生存関数の情報量に関し、右側打ち切りの影響を有効サンプルサイズを尺度として評価できることを発見し、さらにその近似式を閉形式で表現できた。シミュレーション実験を通して、近似式の精度がよいことを確認した。RMST推定量の構成だけでなく、臨床試験デザインの開発におけるサンプルサイズ設計にも応用がきくことが分かり、重要な発見であると考えている。加えて、右側打ち切りだけではなく、区間打ち切りがみられる生存時間データへの応用も取り組み始めた。その途中経過を口頭発表を2021年日本分類学会シンポジウムにて行った。 2)イベント確率予測モデルの判別指標をアウトカムと捉えたchance of longer survivalについて、回帰分析法を開発した。2021年度統計関連学会連合大会にて口頭発表を行った。回帰分析法は、pseudo-observationsの応用を通して方法論開発を行った。年度末には、このpseudo-observationsに関して先駆的な研究を実施している国外の研究者と次年度以降共同研究を開始する計画を立てた。加えて、予測に関する洋書の一部を翻訳した。これは、次年度以降出版を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で明らかにしたいRMSTに関する研究と、イベント確率予測モデルの判別指標に関する研究の両方に着手でき、単一アウトカムに対する議論を十分に行うことができた。これは、翌年度以降に実施する多変量生存時間アウトカムへの展開する上で基礎となる理論構築と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現状、順調に研究が進んでいる。今年度は学会発表や論文公表によるアウトプットを行う。さらに、国外の研究者との共同研究を実施することで、さらに研究進行を加速する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行により、初年度は学会がオンライン中心となり、旅費が発生しなかったことに加え、参加費も安くなった。また、国外研究者との共同研究開始が次年度に開始することとなった。次年度使用額と翌年度請求分を合わせた135万円のうち、120万円程度は共同研究に伴う旅費にて執行予定であり、残り15万円程度は学会参加費や論文の英文校正費等に充てる予定である。
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