研究実績の概要 |
本研究では, 無線給電/充電機能を備えたIoT端末と基地局で構成されるネットワークを対象とし, 令和3年度は, 主にIoT端末の給電機会取得方法に着目して情報通信のスループット特性をエナジーキューイングモデルにより解析的に明らかにすることを目的に研究を進めた. 令和3年度に取り組んだ研究項目は令和4年度に取り組む予定の項目であったが, 研究遂行の順番を一部変更し, 先に給電・情報通信スケジューリングとネットワーク全体の給電頻度の解明を遂行した. この研究項目の順番変更は本研究課題を完遂するに当たり, 特に影響はない. 令和3年度は, 定期的に給電基地局が配下の端末に対して給電を行い, 端末の情報通信は自律的に行う給電・情報通信スケジューリング方式を提案した. 給電基地局に対する給電要求および情報通信を自律的に行う従来方式との性能比較を示し, 従来方式よりも高いスループット性能が得られることを, 理論解析および計算機シミュレーション結果より示した. 現在, その提案内容に関して, 国際会議・海外論文誌への投稿準備中である. 令和3年度に得られた成果は, 国内研究会にて2回発表を行った. また, 令和3年度の補助金は, 計算用ソフトウェア, 計算機, 消耗品, 主に国内学会発表のための学会参加費, 旅費に当てられた. 今後の研究計画として, 令和3年度に予定していた「給電基地局のアンテナ特性による給電効率とネットワークのスループット特性」の解明に着手する. また, 令和3年度において提案したスケジューリング方式はまだ様々な理想化が含まれているネットワーク環境での評価に留まっており, より現実な環境を想定した本手法の性能評価, それに伴う更なる改良を進めていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度は, 「給電基地局のアンテナ特性による給電効率とネットワークのスループット特性」を解明する予定であったが, 研究の順番を変更して先に令和4年度に予定していた「IoT端末の給電機会取得方法に着目した情報通信のスループット特性への影響およびネットワーク全体の給電頻度・および効果的な給電方策を明らかにすることに取り組んだ. その結果, 定期的に給電基地局が配下の端末に対して給電を行い, 端末の情報通信は自律的に行う給電・情報通信スケジューリング方式を提案し, その有効性を解析およびシミュレーション結果より示すことができた. 順番は前後したが, R4年度以降の研究遂行においてその影響はほとんどない. したがって, これらの成果から申請者の研究計画はおおむね順調に進展していると結論づけられる.
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は, 「給電基地局のアンテナ特性による給電効率とネットワークのスループット特性」の解明に着手する. また, 令和3年度において提案したスケジューリング方式はまだ様々な理想化が含まれているネットワーク環境での評価に留まっており, より現実な環境を想定した本手法の性能評価, それに伴う更なる改良を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により, 2021年度はオンラインでの学会開催が多かったため, 当初申請していた分の旅費分が使用されず次年度使用額が生じた. 2022年度は, 学会(国際会議を含む)の対面開催が増加する見込みであるため, 次年度使用額はその旅費として使用する予定である.
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