研究課題/領域番号 |
21K17739
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小貫 啓史 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任助教 (50896173)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 同種写像暗号 / 耐量子計算機暗号 / 楕円曲線 / モジュラー多項式 |
研究実績の概要 |
昨年度以前に行った同種写像鍵交換方式CSIDHの高速化に関する研究を論文として発表した。特にEdwards曲線上でCSIDHを構成する方法を提案し、従来のMontgomery曲線を用いる場合に対して高速化できることを示した。本論文はFinite Fields and Their Applicationsに採録された。 昨年度から引き続きモジュラー多項式の拡張について取り組んでいる。今年度は、Montgomery曲線およびHesse曲線について本研究による拡張されたモジュラー多項式の計算アルゴリズムを構成した。特にBroker-Lauter-Sutherlandのアルゴリズムを本研究のモジュラー多項式の計算に用いる方法を開発した。さらにこれらの実装を行った。この成果について国内研究集会Computer Algebra - Foundations and Applicationsで発表した。 昨年度に報告されたSIKEへの鍵復元攻撃を受けて、その攻撃の暗号方式構成への応用および攻撃の適用範囲の拡張などの研究が盛んである。今年度はその攻撃に関連する以下の研究に着手した。1. 2次元の同種写像を用いた同種写像暗号方式FESTAを四元数代数を用いて改善した新方式QFESTAを開発した。2. FESTAに対する適応攻撃を構成した。さらにどのような場合にその攻撃が適用可能かを解析した。以上の結果は国際会議に投稿中である。 また、上記の攻撃とその後の攻撃の拡張に関してサーベイ論文を執筆した。本成果について現在論文誌に投稿中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題のテーマである同種写像暗号の安全性に重要な影響を与えた昨年度報告されたSIKEへの鍵復元攻撃についての調査を行い、現時点でのその影響範囲を明確にした。また、その攻撃の暗号方式構成への応用およびそのような方式の安全性解析についても成果を得た。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度報告されたSIKEへの鍵復元攻撃を利用した新しい暗号方式が多数提案されている。今年度はそれらの安全性解析を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
21年度および22年度に新型コロナウィルスの影響により学会等がオンラインで開催になったため、旅費として想定したいた額を繰り越した。そのため当年度も繰越が発生した。当該金額については翌年度の学会発表および研究打ち合わせのための国内出張費に充てる予定である。
|