研究課題/領域番号 |
21K17774
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
岩本 祐太郎 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (30779054)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | セグメンテーション / 深層学習 / 水頭症 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は小児水頭症の診断のための高精度な脳室領域の自動抽出(セグメンテーション)及び定量化である。小児水頭症の脳室は脳形状の変形が大きく、脳室が不規則に散在していることから自動抽出の難易度が高い。2021年度は2次元深層学習ネットワークであるU-NETを用いて脳室の自動抽出を行った。医用画像では学習データが少ないため、3次元データに対して2次元ネットワークをスライス毎に適用し、その結果を統合することによって3次元データの自動抽出を行う。スライス毎に自動抽出を行うため、スライス間の情報は失われる。この問題を解決するため、注目スライスの上下スライスを利用する2.5D U-NETを用いて上下スライス間の3次元情報を考慮した。また、高精度な3次元データの自動抽出のため、2.5D U-NETをaxial, coronal, sagittalの3方向からの2.5D U-NETを構築し、それぞれ自動抽出を行った後、それらを統合することによって従来のU-NETより高精度に自動抽出できることを確認した。また、小児水頭症のデータセットとして、20症例のデータに対して医師の指導のもと手動で抽出を行い、教師データを作成し、機械学習のための学習データや検証用データとして利用できるように整備した。本研究は関西医科大学との共同研究であり、毎月一度共同研究先の医師と研究に関する打合せを行った。また、2021年度の成果を国際学会及び国内研究会で報告した。 今後は更に高精度に脳室の抽出ができるよう自動抽出結果に医師の修正を反映可能なインタラクティブ深層学習モデルを構築する。また、医用画像解析のために脳室だけでなく頭蓋内容積を算出する機能の開発を行う。加えて、医師が簡便に利用可能なシステムの開発を行い、臨床現場で利用可能なシステムを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高精度な脳室の自動抽出のための新たな深層学習手法として、3方向から2.5D深層学習ネットワークを適用し、それを統合するモデルを提案した。また、当初の予定通り機械学習のための学習データ及び検証データとして、医師の指導の下、20例のデータの手動抽出を行い、データセットの整備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は提案した3方向からの2.5Dネットワークによる自動抽出結果に医師の修正を反映可能なインタラクティブ深層学習モデルを構築し、更に自動抽出精度を向上させる手法を提案する。加えて、少数データセットに対する学習の効率化のため、公開されている医用画像データセットなどを用いた事前学習により、医用画像における少数データセットに対する課題の解決を目指す。更に三次元情報を考慮するため、三次元ネットワークの適用や三次元脳構造を考慮した後処理などによる高精度化を検討する。これまでの研究成果をまとめ論文誌への投稿を目指す。また、医用画像解析のために脳室だけでなく頭蓋内容積を算出する機能の開発を行う。加えて、医師が簡便に利用可能なGUIシステムの開発を行い、臨床現場で利用可能なシステムを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により国際学会参加のための旅費の支出がなかった。 今後の使用計画として、研究の効率的な推進を目的として深層学習の学習と手法の評価のためにGPUを搭載したデスクトップPCを購入予定である。また、開発した深層学習ネットワークによるセグメンテーション機能を搭載したGUIシステムを利用できるようにGPUを搭載したモバイルPCを購入予定である。加えて、これまでの研究成果を論文誌へ投稿するための校正費や投稿費に支出予定である。
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