研究課題/領域番号 |
21K17777
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
熊谷 幸汰 宇都宮大学, オプティクス教育研究センター, 助教 (90879628)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ボリュメトリックディスプレイ / フェムト秒レーザー / 計算機ホログラム |
研究実績の概要 |
ボリュメトリックディスプレイは,体積的な画素(ボクセル)を空間的に生成することで映像を形成する技術であり,物体が本来有する3次元情報をフィジカル空間に直接描画できる次世代の映像インタフェースとして期待されている.本研究では,体積映像表示における色に注目し,空中で色を自由に変えることができるフェムト秒レーザー励起散乱ボクセルの実証と,体積映像描画への適用を行う.これらの取り組みを通して,色表示できる自由空間ボリュメトリックディスプレイの実現を目指す.本年度は,レーザー励起散乱ボクセルを実現し得る,光源の組み合わせや照射条件を評価するために,ふたつの異なる波長のレーザー光を同一光路で集光し,ボクセルの色観察を行う光学系を構築した.赤外フェムト秒レーザーと赤色CWレーザーの組み合わせでは,目で確認できるほどのボクセルの色変化が得られなかった.一方で,緑色フェムト秒レーザーでは,入射光の偏光に依存したボクセルの色変化が観察された.そこで,ふたつの異なる波長を有するパルス光の重ね合わせを光源の組み合わせとして選択し,実験系へ光路差を利用した光学ディレイを導入した.また,これらのボクセル色の観察実験に加えて,レーザー励起散乱ボクセルを体積映像描画へ適用するために,上記実験で使用した光源を用いてボリュメトリックディスプレイ光学系を構築している.次年度は,体積映像描画への適用も含めて検証を進める予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの取り組みにより,適切なレーザー照射条件の検討を残すものの,当初予定していた光源の組み合わせのひとつの方向性を決定した.また,次年度に向けて体積映像描画への適用に展開するための光学系の実装にも着手し,構築を終えつつある.以上の状況より,本研究課題はおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度においては,まず異なる波長を有するフェムト秒レーザーを用いた2色励起の光学系を用いて,ボクセルの色を分光情報とともに観察し,色表示のための適切な光照射条件を明らかにする.ここでは,色再現の評価も含めて,色表示に関して実現し得るシステムの性能を考察する.また,体積映像描画へ適用するために,これらの光源を用いたボリュメトリックディスプレイ光学系の構築を完了させ,実際に映像描画実験へ移行する予定である.そして,得られた成果をもとに,国内外の会議での発表や論文投稿を積極的に行なっていく.
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