研究課題/領域番号 |
21K17787
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
辻 愛里 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10774284)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヒューマンインタフェース / アイトラッキング / 集中度 / 認知負荷 |
研究実績の概要 |
PC作業者の作業に対する集中度を低負荷かつ定量的に推定できれば、知的生産性の改善に向けての作業環境の改善や作業への適切な割り込みタイミングの推定といった介入が可能になることが考えられる。このとき、集中度を作業者が持つ認知資源のうち主作業に振り分けられる割合と考えると、二重課題時には注意の分配によって反応時間が増加するという認知心理学上の知見から、集中度低下時には認知判断時間が増加すると予想される。 認知判断時間の増減を集中度の指標とするため、日常的な作業中に偏在し定型性の高い認知判断タスクである「黙読」と「文章入力」に着目し、作業者の視線運動と認知資源配分すなわち集中度との関係性を実験結果に基づきモデル化することで、集中度の推定を目指す。 本年度は前年度に実施した1)集中条件 2)主作業への阻害タスクあり条件 3)作業継続による疲労条件の3条件下における黙読タスク中の視線運動計測実験データに対し、個人差標準化処理及び視線行動の類似度を用いた訓練データ選抜を適用することで識別モデルの個人化を試み、個人化適用前の正解率0.422から最高で0.607の精度向上という結果を確認した。 また、入力を伴う校正タスク中においても同様の3条件下実験を実施し、得られたデータから構築した識別モデルを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
異なるタスク中の視線データ取得実験におけるタスク設定および被験者確保に時間を要した上、タスク間での視線特徴に想定以上の異なりが見られたことから単純なドメイン適用が困難であることが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は個人特化型識別モデルおよび作業特化型識別モデルの精度向上を目的とし、視線行動の類似度を利用したデータ選抜手法を模索する。また、深層学習による精度向上についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際的な感染状況を鑑み、年度前半での国際会議参加をオンラインに切り替えたため。次年度は現地に出張しての参加と共に、データ整理やビデオアノテーションの人件費およびそのための機材費として用いる。
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