研究課題/領域番号 |
21K17797
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中村 将成 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (80878306)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | スポット通信 / 音響通信 / 非可聴音 / 追尾 |
研究実績の概要 |
本研究では、汎用のステレオスピーカのみを用いてビーム型のスポットを生成し、特定の位置に存在する移動体のみとアドホックな音響通信を行う手法の構築を目的としている。通信媒体として音響信号を用いることで、すでに広く普及しているモバイルデバイス群(例:スマートフォンやタブレット端末)の内蔵マイクロフォンでの受信が可能となる。また、内蔵マイクロフォンで扱える非可聴音を用いることで、ユーザーを煩わせることなく通信することができる。 汎用ステレオスピーカによる従来のスポット通信手法では、スポット外での受信信号の位相に対して妨害をかけてスポットを生成しているが、これに少なくとも1秒程度の時間を要するため、移動中のユーザーとの通信を行う場合、通信が不安定化するという課題がある。そこで本研究課題では、スポット生成に要する時間を短縮した上で、ユーザーの現在位置に対して適応的なスポットを生成することで、ユーザーとの通信を安定化することを目指している。 本年度は、移動に伴い生じる位相誤差の補正方法を検討した。次に、ユーザー移動時の受信波形を模擬するシミュレータを構築し、移動に応じた適応的なスポット生成時の評価を行った。また、実環境での正確な性能評価を行うために、正確な速度制御が可能な電動スライダとスマートフォンを用いた計測システムを構築した。これをもとにシミュレータと実測値の比較を行ったところ、想定以上の乖離があることが分かり、考えられる原因を整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実測値とシミュレーション値に想定以上の乖離があり、対策の検討が必要となったため。
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今後の研究の推進方策 |
シミュレーション値と実測値の乖離について、考えられる原因を検証する基礎的なシミュレーション・実測実験を実施し、原因を特定する。そのうえで対策を検討し、性能の評価・改善に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由:導入を予定していた機材について、ほかの資金で取得したものが本年度に使用可能となり、該当機材の導入を見送ったため。 使用計画:次年度の研究において、データを効率的に取得するための計測システムの高度化に充てる予定である。
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