2021年度では、筋内力フィードフォワード制御法における任意ベクトルを利用した手先軌道の整形法を提案した。これまでは、筋内力フィードフォワード制御法の収束条件を①筋内力が生成するポテンシャル場が目標位置で安定平衡点となること、②筋内力の正の値を引っ張り方向の力と定義すると、すべての筋肉で正の値となることとしていた。しかし、研究過程で、筋骨格システムの筋骨格構造によってポテンシャル場の条件を満たすことができれば、筋内力の条件を満たさなくても筋骨格システムの運動が目標位置に収束できることがわかった。そこで、筋内力の値に影響を与える任意ベクトルを決定する方法として、目標位置までの手先軌道を整形することができる方法を提案し、シミュレーション結果よりその有効性を確認した。本内容はロボット関連の英文ジャーナルに投稿予定である。 また、筋骨格システムの実験機を対象とした筋内力フィードフォワード制御法で高精度な位置決めを実現するために、プーリモデルと非プーリモデルの特徴を併せ持った新しい関節構造を設計した。その有効性の検証は2022年度に実施予定である。 さらに、筋骨格システムの筋冗長性を利用した位置・剛性制御法を提案した。本手法は目標手先位置への位置制御と、初期手先位置と目標手先位置における剛性を実現することができ、制御入力である筋内力を一意に決定することが可能である。シミュレーション結果より、センサレスで位置・剛性制御が可能であることを示している。本研究成果は英文ジャーナル(Frontier Robotics and AI)で発表している。
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