本研究は状況に応じて適切動作へと導く外骨格型ロボットシステムの構築を目指し、装着者から得られる関節運動や筋活動情報に基づきヒトの状態に対し適切にアシストロボットを駆動させる手法の構築を進めた。ヒトの状態を把握するために、本研究では装着者の動作意図を推定しロボットを駆動させるアプローチで進めた。一般的に動作推定に基づきロボットを制御する場合、予め想定された動作に対し全てラベル付けされたデータで学習した推定器が利用される。そのため装着者は設定された動作を実施することが前提になっていた。しかし、想定される動作の周辺にはラベル付けされていない、またはラベル付けが困難な紛らわしい動作も潜在し、それらの動作を実施するとロボットは事前に設定された動作のいずれかと見なし誤作動する可能性があった。一方、本研究ではデータ全てではなく、一部にラベル付けされた状態でヒトの動作意図を推定しロボットを制御する方法を構築した。これにより、従来手法と比較して精度良くヒトの状態に応じて適切にロボットを駆動させることが確認できた。また、アシストロボットによりヒトを適切な動作へと導く支援方法に関し、姿勢だけでなく筋活動の評価に基づき制御可能なシステムを構築し日常動作の起点となる立ち上がり動作に適応し検証を進めた。具体的な筋活動の評価としては、複数筋の活動を少数のモジュールから説明する筋シナジーモデルを援用した。その結果、アシストにより姿勢だけでなく筋活動を目標のパターンに変化させることが可能であることが分かった。最終年度では、外骨格型ロボットの支援によるヒトの動作に対する定着性に注目し、ヒトの運動学習に与える影響を調査した。その結果、個人の短期記憶能力と固有受容感覚を評価することで、効果的にヒトの運動学習を促し適切な動作へと定着させる可能性があることが分かった。
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