建設作業や農作業をロボットにより自動化する際,作業,走行する土壌の水分量を推定して効率的に行動することが期待される.そこで本研究課題では,近赤外光が水分に吸収されるという特性を利用して,LiDARの受光強度を用いた土壌表面の含水量推定手法の開発を目標とした. 2021年度は,豊浦砂,火山灰,真砂土を対象としてLiDARの受光強度,照射角度と土表面の含水量の関係を室内実験により明らかにした.実験で得られた関係をもとに各土に対して,受光強度,照射角度を入力として含水比を推定するガウスカーネルを用いたガウス過程回帰モデルを開発した.次に,可視光カメラのRとBの2波長の放射輝度の差分比率を入力に追加することで,土の種類に関係なく含水量を推定できることを明らかにした.一方,含水量が高く飽和状態に近い場合では推定精度が低くなる傾向があった. 2022年度では,可視光3波長と近赤外光に植生調査で用いられるレッドエッジを追加した合計5波長の分光強度と含水量の関係を室内実験により測定した.2波長の差分比率を全組み合わせで計算して得られる10個の変数と5波長の強度の合計15変数を入力とするニューラルネットワークを用いた含水量推定手法を開発した.本推定手法は,初年度の推定手法よりも高含水時では推定精度が向上することを確認した.一方,屋外試験により日射量の影響で推定精度が若干低下することが確認されているため,今後は日射量の補正方法について検討する.
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