研究課題/領域番号 |
21K17844
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
池田 純起 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 特別研究員 (30754353)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 動画 / 視覚情報 / 脳活動 / 個人特性 / 推定 |
研究実績の概要 |
脳科学の目標の一つは脳と個人特性(知能や性格)との関係を明らかにすることである。その目標に向けて、脳活動データから人間の個人特性を精度よく推定する方法が求められている。最近の研究で、ヒトが動画を視聴しているときの脳活動にその人間の個人特性が反映されることが分かっている。その一方で、動画内のどの視覚情報が人間の個人特性と関係しているのかについてはよく分かっていない。そこで本研究では、ヒトが動画を視聴しているときの脳活動に着目し、動画内に存在する視覚情報の中でどの視覚情報が個人特性の推定に寄与するかを明らかにすることを目的とした。具体的な目的は次の通りである: 目的1)動画視聴時の脳活動データを用いて、個人特性の推定に寄与する視覚情報を特定 目的2)個人特性の推定に寄与する視覚情報間の関係を WordNet を用いて評価し、視覚情報間に共通する性質を解明 目的3)目的1とは別のデータを用いて、研究結果の再現性を確認 本年度は、公開データである Human Connectome Project(HCP)内にある動画視聴時の脳活動データを用いて目的1に関する作業を実施した。動画視聴時の脳活動データを一定の長さに分割し、分割された個々の脳活動データから求めた特徴量を機械学習の回帰モデルに入力することでヒトの個人特性を推定した。さらに、分割された脳活動データと時間的に対応している動画部分において表示される視覚情報を定量化し、視覚情報と個人特性の推定結果との関係を調査した。その結果、これらの間に関係性を見い出すことはできなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で説明した通り、視覚情報と個人特性の推定結果との間に関係性は見られず、目的1を達成することはできなかった。このことから、本研究計画は遅れていると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の解析結果から目的1の達成は難しいことが分かった。次年度以降も引き続き動画内に表れる視覚情報と個人特性の推定結果との関係について調査しつつ、もし良い結果が得られない場合は研究計画の変更も考える。今後の具体的な方策としては、視覚情報を定量化する方法の改良や回帰分析で用いる脳活動特徴量の改良を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究結果の発表や本研究計画を進めていく上で必要な情報収集のために学会への参加費と旅費が必要となる。今年度購入予定であったノート PC については、現状の計算機の環境を鑑み、購入を延期し、次年度にあらためて購入することとした。また、成果発表のための学会参加費および旅費は今年度発生しなかった。
|