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2021 年度 実施状況報告書

昆虫脳を模倣するシリコン神経ネットワークチップ基盤技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K17849
研究機関東京大学

研究代表者

名波 拓哉  東京大学, 生産技術研究所, 助教 (90830787)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードシリコン神経ネットワーク / 神経模倣システム / ショウジョウバエ
研究実績の概要

本年度は、ショウジョウバエの嗅覚神経系を模倣するシリコン神経ネットワークチップの作成の最初のステップとして、ショウジョウバエの嗅覚神経系を模倣する数理モデルの構築及び、プロトタイプ作成によく使われるプログラマブルなデジタル演算回路システムであるfield-programmable gate array(FPGA)への実装を行った。嗅覚神経系を専門とする国内外の神経科学者と連携し、神経活動を再現しつつ、現実的な消費回路リソースでデジタル演算回路上に実装できると期待できる数理モデルを構築した。加えて、構築したモデルをハードウェア記述言語の一種であるVHDLを用いて、FPGA上に実装し、正常に動作することを確かめた。実装されたシステムは市販の安価なFPGA上に実装され、実際の神経系と同等の速度で駆動し、消費電力はわずか0.3Wであった。また、嗅覚神経系の一部である触角葉で顕著な神経同期振動現象を再現し、また、キノコ体出力ニューロンの特徴的な発火周波数の遷移を再現した。さらに、嗅覚神経系の主要な機能である、匂い連合学習を再現した。
構築した神経模倣システムは、神経細胞の活動を再現するPiecewise Quadratic Neuron Unit (PQN)ユニットからなる。なるべく少ない消費回路リソース及び消費クロックで、神経細胞の活動を忠実に再現する為に、回路パラメータの最適化を行った。本年度は実装にFPGAを使用したため、FPGAに対して最適な設計を検討し、4ステージで神経活動の計算を行うパイプライン構造を設計した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

application specific integrated circuit (ASIC)実装の前段階として、field-programmable gate array(FPGA)への実装が行われ、正しく動作することが確かめられた。また、ASIC実装での低電圧化に向けたPiecewise Quadratic Neuron Unit (PQN)ユニットのパイプライン化も行われた。

今後の研究の推進方策

来年度の方針は、まずASIC設計のための環境を構築し、構築するシステムのもっとも重要な部分であり、神経細胞の活動のシミュレーションを担うPiecewise Quadratic Neuron Unit (PQN)ユニットの設計を行う。ここで、神経細胞のダイナミクスの計算のために多くの加算とシフト演算が行われている為、動作電圧の低減に伴う回路遅延問題の深刻化が予想されるが、本年度に行ったパイプライン化を拡張する形で対応する。
また、最終年度での試作チップの作成に向けて、システム全体の設計を行う。

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公開日: 2022-12-28  

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