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2021 年度 実施状況報告書

パーソナルゲノム治療にむけたPrime Editingゲノム編集データベース構築

研究課題

研究課題/領域番号 21K17855
研究機関広島大学

研究代表者

中前 和恭  広島大学, ゲノム編集イノベーションセンター, 研究員 (00882995)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワードPrime Editing / パーソナルゲノム / ナノポアシーケンス
研究実績の概要

本研究では、正確かつ効率的な配列改変が可能なPrime Editing技術と、解析から独自に見出した効率予測パラメータを組み合わせ、パーソナルゲノム治療向けの治療情報データベースを構築と検証を行うことを目的としている。2021年度は、Prime Editingの検証とパーソナルゲノム情報を取得するためのナノポアシーケンス解析系の検討を行った。

Prime Editingにおいては、まず先行研究で有効性が確認されていたRNF2遺伝子座に着目して、ラボ内で再現実験を行うとともに導入条件の最適化を実施した。最適化の結果、先行研究よりも小スケールで同程度の効率で正確な配列改変が可能な実験系を確立した。また既存の解析ツールを応用した効率測定系や効率予測に利用するパラメーター計算スクリプトを構築し、これらが実際のPrime Editingにおいて非常に有効であることを確認した。
さらに従来のPrime Editingよりもより効率化されたPEmaxや、epegRNA、およびdual-pegRNAのシステムを導入し、これらを組み合わせることでさらに高効率化できることを確認するとともに、HCT116細胞株を使った実証実験の中にも取り入れた。

ナノポアシーケンス解析系では、計画していたようにHCT116細胞株がもつMLH1遺伝子座のhomozygous SNP(rs63750198)を対象に、ナノポアシーケンスを実施し、十分な精度で検出可能か検証した。長鎖シーケンス用に最適化した条件で周辺配列20 kbのPCR増幅産物をナノポアシーケンサーに供したところ、90%以上の率でSNP配列の検出に成功し、本シーケンス解析系での有用性を確認した。また解析ソフトを吟味し、実際のシーケンスデータを使った検証から、既存ソフトウェアで対応できないポイントをあぶり出し、システムの細かな仕様策定を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本パーソナルゲノム治療向けの治療情報データベースの構築は、データベース・システム開発という要素の他に、Prime Editingによる精密ゲノム改変とナノポアシーケンスによるパーソナルゲノム情報の読み取りという2つの実験解析系の確立が必須となっている。Prime Editingにおいては実際にヒト細胞で高効率に機能する実験条件を見出し、また効率の予測の有用性も確認した。ナノポアシーケンスにおいても90%以上の高精度でSNPの読み取りが可能であることを実証し、広範囲のパーソナルゲノム情報の取得に十分堪えると判断できた。

以上から、データベースの構築計画に必要な実験解析系が十分に確立できたと判断され、システム構築時に活用する実験データの取得条件も定まった。2022年度に実施するデータベース・システム開発の下準備は十分に整ったと判断できるため、本研究はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

今後は、取得した実験データを活用して、本格的なデータベース・システムの実装に取り組む。SpCas9型Prime Editorをベースにした標的トラックと、効率予測システムを組み合わせて、有用な標的と設計のデータベース化を行うとともに、細胞のゲノムシーケンスデータから病原変異を検索して適切に治療するPrime Editing設計を提示するインターフェース開発し、加えて配列改変の評価システムを実装する。また、SpRY型Prime Editor用の標的トラックを追加するなど、最新のPrime Editing技術も提案できるようにデータベースにカスタマイズ性を付与し、データベースの可用性を高めてより多くのPrime Editingによる治療メソッドを患者および研究者へ提供できるよう尽力する。

次年度使用額が生じた理由

当該年度の当初計画では、ナノポアシーケンスの検証が進展しなかった状況を想定し、バックアップ実験のための経費を計上していたが、研究の順調な進展により、本経費を次年度に使用する計画とした。またクラウドサービス利用料についても仕様策定のための経費を計上していたが、ナノポアシーケンス系やPrime Editing実験系を確立後に、クラウドでの検証を進める体制のほうが確実な仕様策定が可能になるという判断があり、利用開始時期を次年度にシフトさせる計画とした。次年度は本格的なデータベース・システム開発の実施を予定しており、より多くのテストデータの処理が求められるため、このためのシーケンス取得やクラウドサービス利用料に使用する計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Sequence-based parameters contributing to the efficiency of MMEJ-assisted knock-in and Prime Editing2021

    • 著者名/発表者名
      中前和恭
    • 学会等名
      日本ゲノム編集学会第6回大会
  • [学会発表] Sequence-based parameters contributing to the efficiency of MMEJ-assisted knock-in and Prime Editing2021

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Nakamae
    • 学会等名
      CSHL meeting: GENOME ENGINEERING: CRISPR FRONTIERS
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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