研究課題/領域番号 |
21K17859
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
榊 剛史 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 客員研究員 (00735805)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | SNS分析 / ユーザ行動モデリング / インフォデミック / 社会ネットワーク分析 / サイエンスコミュニケーション |
研究実績の概要 |
本研究課題では,SNS 上のコンテンツを対象に,コンテンツの質を定量的に表現する指標を提案し,その測定手法を確立し,指標および測定方法の妥当性を検証することを目指している.この際,既存研究では,発信されるコンテンツの内容からコンテンツの質の測定を行っているが,本研究ではコンテンツに対する受信者の特徴・反応によってコンテンツの質を評価しようとする点が特徴である. 本年度は新型コロナウィルスに関するインフォデミックを対象とし,その中でも,特に質に問題がある代表的なコンテンツであるデマ・風評とそれ以外の一般的なコンテンツに着目し,その情報の受信者および拡散者について,その特徴や行動特性についての分析を遂行した.彼らの持つ社会ネットワークの特徴,彼らの投稿内容の特徴,彼らの拡散した投稿の投稿者の特徴に着目し,さらにその時間的な推移を分析した. これらの分析を実現するために,投稿データの収集,それらの投稿を収集したユーザのプロフィールおよび彼らの持つ社会ネットワークデータを収集し,データセットとして整備した.これらを用いて初期分析を行ったところ,特に,一般的なコンテンツを拡散していたユーザが,問題のあるコンテンツを拡散するようになる過程に特徴的な変化がある結果が得られた、さらにそれらの変化は,彼らが持つ社会ネットワーク構造の変化により影響されていること,またコンテンツの内容には影響されていないことを示唆する結果が得られた.この結果は,情報の発信者や拡散者によりコンテンツの質が定義可能,という本研究課題の仮説と整合的である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コンテンツの質と,それらを拡散するユーザの特徴には一定の関連性があることを示唆する分析結果が得られているため.この分析結果を踏まえて,コンテンツの質を評価する手法のベースとなる仮説を立案できると想定される.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,本年度の研究を継続し,継続的に問題のあるコンテンツを拡散するユーザおよび継続的に一般的なコンテンツを拡散するユーザに着目し,それらのユーザ群の違いについて明らかにする.拡散するこれに基づきコンテンツの質を評価するためのユーザ特徴の手がかりを明らかにし,コンテンツの質を評価する手法の元となる仮説を立案することを目指す.さらにその仮説に基づき,コンテンツの質を評価する手法を確立する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染状況が好転しないため,予定していた国内会議・国際会議がオンライン開催となり,旅費を使用しなかったため.
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