研究課題/領域番号 |
21K17862
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
王 元元 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (00736217)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ビッグデータ分析・活用 / ツーリズム / 時空間データ / 観光行動 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、次世代ツーリズムにおけるユーザの観光行動支援のために、実空間とサイバー空間でのユーザ行動によるPOI(観光スポット)の潜在的価値およびPOIに対するユーザの潜在的意図を解明し、統一的に扱う情報基盤の構築を目的としている。
初年度である令和3年度は、[A] 旅行計画フェーズのための観光情報収集・分析に取り組んだ。具体的には、A-1) データ収集システムおよびデータベースの開発と管理を行った。そのために、まず、実空間において道路交通情報やセンサ情報などの移動軌跡データ、およびサイバー空間において位置情報(ジオタグ)や時間情報(発信時刻)といったメタデータが付与されたSNSデータ(Twitterのツイートデータ、Foursquareのチェックインデータ、Flickrの投稿写真データ)の収集システムをそれぞれ実装した。次に、日本、米国を対象に収集した移動軌跡データとSNSデータ(ツイートデータ・チェックインデータ・投稿写真データ)を時空間データベースに格納した。最後に、データウェアハウス技術や多次元式MDX言語などを用いて収集したデータを地理空間・時間・人々の行動からなる多次元データベースとして統合的に管理し、多次元データベースの構築を行った。これにより、ユーザの移動軌跡における任意のPOIの話題が多様化していても、そのPOIに関する話題や最新情報を発見でき、効率的かつ効果的な観光情報提供につながる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、令和3年度の研究実施に関して、おおむね順調に進展している。
本年度は、実空間において道路交通情報やセンサ情報などの移動軌跡データ、およびサイバー空間において位置情報(ジオタグ)や時間情報(発信時刻)といったメタデータが付与されたSNSデータ(Twitterのツイートデータ、Foursquare のチェックインデータ、Flickrの投稿写真データ)をそれぞれ収集し、時空間データベースに格納した。また、多種多様な観光情報を収集するため、データウェアハウス技術を用いて実・サイバーデータの取得分析ならびに多次元データベースの構築を中心に研究を進めた。
構築した時空間データベースの多次元分析に関する論文は、ビックデータ・情報管理や ウェブマイニング分野で最高峰の国際会議(BigComp、IMCOM、WI-IAT等)のフルペーパーに採択された。また、収集した観光情報の活用に関する研究は、国際学術論文誌(Applied Intelligence)や国内論文誌(日本データベース学会、パーソナルコンピュータ利用技術学会)に論文が採録されるなど、一定の成果をあげており、順調に取り組むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、令和3年度に採択された成果発表に加え、収集したデータからPOIに対する旅行行動特性(目的、予算、移動手段、評価等)を抽出し、複数の特性に対して時間と空間の相互関係を分析するための時空間多次元データ分析技術の開発と、多次元解析(テンソル解析)によるPOIの潜在的価値の分析を行う。また、POI間の特性類似度、空間・時間距離とユーザ特徴(観光客や住民)に基づく空間や時間同士の関連性を確率的に推定し、相関性の高い場所や時間に関する観光価値の高いPOIを抽出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は、研究遂行期間を想定以上に要し、多くの研究成果の発表機会を失った。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、学会の開催が延期となり、成果のとりまとめも困難であったため、次年度の使用額が生じた。次年度は、令和3年度の残高と令和4年度の予算に合わせて使用する。具体的には、国際会議発表のための旅費および論文誌への掲載費として使用する予定である。また、開発用PC購入に物品費として使用する予定である。
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備考 |
山口大学工学部知能情報工学科・山口大学大学院創成科学研究科 Web情報工学研究室 個人ホームページ http://www.wie.csse.yamaguchi-u.ac.jp/wang/
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