研究課題/領域番号 |
21K17866
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
吉原 和明 近畿大学, 情報学部, 助教 (10881435)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 情報セキュリティ教材 / 中学校技術科向け教材 / 高等学校情報科向け教材 / 物理的可表現手法 |
研究実績の概要 |
2022年度では、2021年度に作成したブザーやLEDを用いた情報セキュリティ教材のプロトタイプから他の物理的に分かりやすい表現方法の模索を行い、初学者にも分かりやすく直感的に理解できるようなシステムの検討・教材の開発を行った。 具合的には、ネットワークのデータのやりとりを列車の模型に見たてる方法である。教材同士でネットワークの構築を行い、疎通確認が行われると送信元の教材から送信先のデバイスまで列車の模型がレール上を動くようにしている。レールは教材からモータで制御されており、ネットワークの構築や設定には画面やキーボード・マウス操作で行うのではなく、ボタンやダイヤルを用いている。これにより、情報通信ネットワークにおけるデータのやり取りをモニタのような画面を見て確認するのではなく、模型の列車がデータに見立てた荷物を運ぶのを直接見ることにより、直感的に理解することが可能であると考えられる。 さらに、暗号化されていない危険な通信の場合は、教材からモータを制御することで、列車の模型を停止するような仕組みにした。これにより、ネットワークの構築は正しくても危険な通信の場合は列車の模型が動かないことで、情報セキュリティを直感的に実感することが可能だと考えられる。このような新しい物理的な表現手法での教材を提案することで、より良い教材システムを用いた情報通信ネットワーク・セキュリティの直感的な理解を促す授業の礎になると考えている。 そして、実際の授業実践を行うための教材となる小型デバイスとしてRaspbeeryPi400を選定して10個購入し、授業実践用の教材の開発の基盤となるOSと必要なライブラリのインストールを行い、授業実践に必要な教材に向けた準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
授業実践するための教材の開発基盤として当初予定していたRaspberryPi4がコロナ禍の半導体不足の影響により入手が困難であったため、他のデバイスでの検討を余儀なくされた。そのため授業実践の準備の進捗が当初予定したよりも少し遅れ、新たな物理的表現手法を用いたプロトタイプの作成を行った。
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今後の研究の推進方策 |
授業実践のデバイスをRaspberryPi400と選定したため、今後は今年度まで検討した教材システム案から最終的な教材として決定し、授業実践に向けて教材の準備、予備実践の実施、実践授業の指導案の作成を行い、検討している中学校もしくは高等学校にて授業実践を実施し、アンケート結果などから教材の有効性を検証する予定である。 教材の内容としては、昨年度作成したLEDとブザーを用いたセキュリティ教材のプロトタイプと今年度作成した列車の模型を用いたプロトタイプを組み合わせた内容にし、2つの演習内容で構成される授業コンテンツを検討している。 しかしながら、課題として必要な教材デバイスの個数が定まっていない点があげられる。進捗状況でも述べた通り、現在、RaspbeeryPiのような小型デバイスが半導体不足の影響もあり入手が困難になっている。授業実践の内容に応じて生徒が用いる教材の個数を少なくしても良いが、できるだけ多くの生徒に利用して実践する方が良いと考えている。現在教材の基盤として選定しているRaspberryPi400が追加で購入できない場合、別のデバイスを開発基盤にすることの検討やそれと既に入手してあるRaspberryPiとを組み合わせた教材システムの構築などで対応したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として、教材の基盤である機器として予定していた小型デバイスのRaspbeery Pi4が半導体不足の影響もあり入手困難だったことがあげられる。現在は比較的入手しやすいRaspberryPi4を検討しており、翌年度に購入する予定である。また、コロナ禍というのもあり、旅費の出費が予定していた額よりも少なくなったこともあげられる。来年度は、学会などの研究会参加や授業実践予定校との打ち合わせなどの旅費支出が増える予定である。
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