研究実績の概要 |
音楽ライブのライブビューイングにおいて, ビューイング会場で起こった反応をフィードバックすることで,ライブにおける一体感の向上が見込まれており,観客の反応の代表として拍手, 手拍子を取り出してフィードバックする研究を行っている。 本研究の先行研究により, ライブビューイングにおいて配信先会場の観客らの拍手を本会場へフィードバックする拍手音伝送再生システムが開発されている。 この拍手音伝送再生システムの中で, 拍手音の抽出に関して先行研究では, NLMS-アルゴリズムを使った適応フィルタを用いて会場内の音を抽出し, その後拍手検出を行っている。 しかし, このパラメタについて十分に検討されておらず, アルゴリズムを再検討することにより、抽出精度を高めることができると考えた。 本研究では、室内音場の特性をNLMS-アルゴリズムおよび周波数領域のLMSアルゴリズムによりモデル化し、オフラインで逆フィルタを設計することで、拍手音の抽出精度を上げることを試みた。また,オンラインで実時間に逆フィルタを設計するために,配信先会場で収音した音の高域を強調することを試みた。 本研究に関連する国際的な研究動向の調査を行った。それらの動向調査による判断の結果,過去に収録した実際のライブ会場における拍手音をもちいることで、抽出実験(シミュレーション)をおこなった。その結果、十分な信号対雑音比で、拍手音の抽出が行えることがわかった。しかし、リアルタイム動作や安定性については、従来に比べて改善できたが,さらなる改善が必要であることもわかった。本研究内容は,2024年度に,国際会議等で発表する予定で,研究成果のまとめを進めている。
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