研究実績の概要 |
「研究の目的」:本研究の目的は,南太平洋およびインド洋における微量金属9元素(Al, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Cd, Pb)の溶存態,全可溶態および置換活性粒子態の鉛直断面分布を明らかにすることである.また,従来の分析法で未検討の問題:1.サンプルの有機錯体の分解をするためのUV照射による微量金属濃度変化;2.サンプルの酸添加から濃縮分離までの保存時間が定量にどのように影響するかを解明する. 1.UV照射の最適条件およびサンプルの保存時間の検討 令和3年に海水を大量採水するための容器を検討し,それぞれのブランクを確認した.その後,駿河湾の海水を10 L採取し,約5 Lの海水をアクロパック (AcroPak capsule filters, Pall)でろ過した.今まで,駿河湾のろ過および未ろ過海水を用いて,0, 11, 18, 25, 41, 76, 109日の9元素 (Al, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Cd, Pb)の溶存態,全可溶態,および置換活性粒子態の保存時間による濃度変化を調べた.また,UVオゾン洗浄改質装置SKB1101N-01を用いて,109日目の海水をUV照射1, 2, 4時間を行い,UV照射してない海水の金属濃度と比べた. 2.南太平洋における微量金属9元素の全深度スペシエーションと鉛直断面分布 令和3年に南太平洋の試料の再濃縮を完了し,すでに発表した160°Wに沿う北太平洋の測線と合わせ,太平洋全体の南北断面分布を解明しつつある.9元素の中,従来スキャベンジ型に分類されたAl, Mn, Co, Pbの供給源と熱水プルームからの影響を明らかにし,論文にまとめた.今,その論文を投稿中である.
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度: 1.7月~9月:白鳳丸KH-22-7西北太平航海に参加し,海水試料を採取する.2.10月~12月:UV照射の最適条件およびサンプルの保存時間の検討を続いてする.3.12月~4月:南太平洋の栄養塩型元素(Fe, Ni, Cu, Zn, Cd)のデータを分析し,北太平洋のデータと併せて論文にまとめる. 令和5年: インドにおける未ろ過微量金属9元素の全深度スペシエーションと鉛直断面分布を明らかにし,論文にまとめる.
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