1、「飛砂粒子の流速・流量・粒径を同時に測定できる観測システムの開発」に関しては、飛砂粒子の粒径および流速が、センサーに与える影響を検出するため、信号の出力方法をデジタル信号からアナログ信号に変更した。新しい信号増幅器とデータ収集に関するコントロールシステムを整備し、各粒径の砂粒子が圧電振動子に衝突する風洞実験を行い、判別出力部の設置に必要な基礎データを収集した。 2、2023年春季にモンゴル半乾燥草原Khuldにおいて、特許出願中の無指向飛砂量計測装置(特願P2020-014)を用いて飛砂観測を行った。飛砂計により同時観測された風向と飛砂量データを取得し、風向風速計により測定された風向風速データとの比較から、飛砂計の乾燥地現場観測での実用性と適用性を検証した。また、各風向における飛砂発生の臨界風速を算出することが可能になった。モンゴル現地の実証実験を踏まえて、無指向飛砂量計測装置の改造を行い、無線のデータ転送および無線の電力供給などの機能を追加した。 3、植物の飛砂抑制の物理的効果を評価するため、形状・遮蔽率・柔軟性といった単一の特性の定量化データを抽出可能なLiDARシステムを開発した。従来のToF式のLiDARは、光速で移動するレーザーの反射時間を計測してのスキャン原理のために、近距離のスキャン対象の高精度点群データの生成は困難であった。また、従来のマイクロミラー回転式のLiDARは、ビームの角度解像度を上げる事は困難であり、植物の幹や細かい葉のスキャンは困難であった。本研究で開発する観測機材では、近距離で精密な植物ポイントクラウドモデルの生成に特化したソリューションとなる。本機材は光位相式の面発光(VECSEL) LiDARを採用し、上記の二つの課題を解決した。開発したLiDARシステムを用いて、鳥取砂丘と鳥取大学乾燥地研究センターの圃場で実証実験を行った。
|