研究課題/領域番号 |
21K17896
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
藤井 佑介 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 助教 (90780099)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | バイオマス燃焼 / OHラジカル / 大気寿命 / リグニン熱分解 / 大気エアロゾル |
研究実績の概要 |
2021年度は、OHラジカル発生及び対象成分(リグニン熱分解生成物)への暴露実験系を完成させた。その後、本実験系により、サリチル酸を用いたOHラジカル濃度の推定を行い、十分なOHラジカル量を発生させることが可能なことを確認した。OHラジカル暴露用の試料作製方法や妥当性について検討した後、実際の大気エアロゾル中での存在が確認されているvanillic acidとhomovanillic acid(いずれもグアイアシル核リグニンの熱分解生成物)に対してOHラジカル暴露実験を行い、反応速度定数及び大気寿命を求めた。その結果、対象成分の大気寿命は1~2日程度(寿命の長さ: homovanillic acid>vanillic acid)であると推定された。これらは、主要なセルロース熱分解生成物であるlevoglucosanの大気寿命(1.7日(Lin et al., 2017))と大きな違いはなく、levoglucosan(代表的なバイオマス燃焼の発生源指標)と同様に、vanillic acidとhomovanillic acidのバイオマス燃焼の発生源指標としての有効性を示す結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通りに、OHラジカルの暴露実験系を完成させ、試料作製方法の妥当性の検討を行うと共に、一部のリグニン熱分解生成物(vanillic acidとhomovanillic acid)の反応実験を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
・その他のリグニン熱分解生成物(シリンギル核やp-ヒドロキシフェニル核)に対するOHラジカル暴露実験を行う。 ・オゾン暴露についても実験系を作製し、リグニン熱分解生成物に対する暴露実験を開始する。 ・リセプター(マレーシアのクアラルンプール予定)における野外フィールド観測を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
世界的な新型コロナウイルス蔓延状況に伴い、参加を予定していた国際学会(Asian Aerosol Conference(AAC))が次年度に延期されたため。
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