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2023 年度 実施状況報告書

病院排水を利用した薬剤耐性菌監視システムの構築と耐性遺伝子拡散機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K17897
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

鈴木 由希  奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00806466)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード病院排水 / 薬剤耐性菌 / 感染制御 / 耐性遺伝子
研究実績の概要

耐性菌発生源の追究と制御は喫緊の課題であるが、現在耐性菌はヒトのみならず動物・環境からも検出されおり、多角的な解析と包括的な理解が必要である。本研究は、医療関連感染予防の観点からヒトおよび環境排水中に分布する耐性菌の耐性遺伝子や菌の特徴と関連性について遺伝学的背景から解明し、また耐性遺伝子拡散機構について明らかにすることを目的としている。
2023年度は、これまでのサンプリングにより分離・保存された菌株について、分子遺伝学的解析を進めた。病院排水より収集された大腸菌53株について、寒天平板希釈法による薬剤感受性試験、PCRとDNAシークエンシングによる薬剤耐性遺伝子の検索と型別、ゲノム型別を実施した。その結果、CTX-M-27, CTX-M-15, CTX-M-14などESBL産生し、ST131, ST38, ST1193などに属する大腸菌が多く検出され、ヒトの臨床より報告のある大腸菌と同様の特徴を持った株が検出された。また、同排水よりカルバペネマーゼであるIMP-1やGES-24を産生するDelftia tsuruhatensisも検出され、詳細なゲノム構造を解析するために次世代シークエンス解析を実施している。これらカルバペネマーゼ遺伝子はすべてプラスミド性に存在し、30~65 kbpのサイズであり、またこれまで報告のない独自の構造を有していた。
上記研究結果は、第93回日本感染症学会西日本地方会学術集会、第35回日本臨床微生物学会総会・学術集会で報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度までのサンプリングにより4029株の菌株を保存され、当初の計画通り大腸菌や、肺炎桿菌など菌種ごとに詳細な解析を進めることができた。今後も継続的に解析菌株数を増やし、ヒト由来株の比較、関連性を見出していく。

今後の研究の推進方策

これまでのサンプリングで収集された菌株について、今後も引き続き菌種、菌株数を広げて、詳細な遺伝学的解析を進め、病院排水中における薬剤耐性菌の包括的な理解と、ヒト由来薬剤耐性菌との関連性について解析を継続していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

昨年度実施した大腸菌などの腸内細菌目細菌における耐性遺伝子の解析、本邦で初めて検出された耐性菌のゲノム解析を行ってきた。排水中における薬剤耐性菌の実態を包括的に把握し理解するためには、さらに多くの菌株の性状・ゲノム解析の必要性が生じ、解析費用を捻出する必要があったため、次年度に繰り越すこととした。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 本邦医療機関の排水より分離されたカルバペネマーゼ産生Delftia tsuruhatensis3株の解析2024

    • 著者名/発表者名
      藤倉裕之、鈴木由希、中野竜一、中野章代、野村泰充、堀内沙央里、山口晃一、斉藤開、渡邊真子、笠原敬、矢野寿一
    • 学会等名
      第34回日本臨床微生物学会総会・学術集会
  • [学会発表] 奈良県内の医療施設で過去5年間に分離されたAeromonas属菌の疫学解析2024

    • 著者名/発表者名
      北川 大輔, 鈴木 由希, 阿部 教行, 宇井 孝爾, 鈴木 崇真, 関根 円香, 中野 章代, 中野 竜一, 矢野 寿一
    • 学会等名
      第34回日本臨床微生物学会総会・学術集会
  • [学会発表] 本邦医療機関の排水より分離された薬剤耐性大腸菌の特徴について2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木由希、中野竜一、中野章代、野村泰充 、堀内沙央里、山口晃一 、斉藤開 、渡邉真子 、矢野寿一
    • 学会等名
      第93回日本感染症学会西日本地方会学術集会

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公開日: 2024-12-25  

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