本研究では、分解性が高いものの、その影響が懸念されている、防汚物質4,5-dichloro-2-n-octyl-4-isothiazolin-3-one (DCOIT)について、近年、資源量の減少が報告されている二枚貝幼生に対するリスク評価を行うことを目的とし、アサリ胚~幼生期毒性試験法を確立して二枚貝幼生に対するDCOITおよびその分解産物の毒性や水温との複合影響を把握すると共に、マガキおよびアサリ幼生の分布域および移動経路におけるDCOITの汚染実態を明らかにした。本研究の成果は、感受性の高い水産重要種と防汚物質の共存を目指した、防汚物質使用の適正化に関する提言に繋がるものと期待される。
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