研究課題
多孔性錯体結晶である金属有機構造体 (Metal-Organic Frameworks, MOFs) の水質浄化性能を顕在化させるためには、微粒子化による細孔内物質移動の制約緩和や官能基修飾による吸着質との親和性向上が有効である。本研究課題では環境調和型の形態制御型MOFs合成や簡易手法による官能基修飾MOFs合成を提案し、様々な機能集積型MOFs結晶の創製に挑むものであって、さらに得られたMOFs結晶を水質浄化剤として検証することで、生活排水中の難分解性有機化合物や酸性坑廃水中の重金属イオンなどの有害汚染物質に対する吸着性能を明らかにしながら、新たな水質浄化剤としての提案を目指すものである。二年目はイミダゾレート錯体のMAF-6とテレフタレート錯体のUiO-66を中心に検討を進めた。MAF-6については界面活性剤の添加や合成母液組成の最適化によって粒子径制御が可能であることを見出し、微粒子化できる合成手法を確立した。吸着挙動を確認したところ、微粒子化は吸着速度の向上に有効であった。またUiO-66については、アミノ基、スルホ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基などの官能基を修飾させる合成法を確立できた。官能基修飾型UiO-66の吸着特性評価は、有機染料を用いて実施しており、例えばカチオン性のアミノ基を修飾させた場合はアニオン性染料を、アニオン性のスルホ基を修飾させた場合にはカチオン性染料を選択的かつ高容量に吸着できることを明らかにした。速度解析の結果、擬二次反応モデルに従っていることが確認され、吸着等温線はLangmuirモデルに従ったことから、細孔内に単分子層吸着していることが示唆された。そのため、UiO-66のもつ細孔空間が吸着場として適切に利用されていることが確認でき、水質浄化向けの多孔性吸着剤として大きなポテンシャルを有することを明らかにした。
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Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects
巻: 651 ページ: 129749~129749
10.1016/j.colsurfa.2022.129749