研究課題/領域番号 |
21K17912
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
久野 真純 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特別研究員 (90888025)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 生物多様性 |
研究実績の概要 |
研究協力者の出口翔大博士(福井市自然史博物館)の助言のもと、2021年6月に福井県あわら市周辺、福井市周辺、越前市周辺、鯖江市周辺にて、鳥類群集調査を行うための正方形の調査区を設置した。その際、さまざまな森林の分断化率の程度が含まれるよう農地と森林、都市の景観をランダムに配置される調査区を設定した。調査区内で簡単な植生調査、およびラインセンサスによる鳥類群集の予備調査を行った。その後、秋から夏にかけて本調査を行う予定であったが、コロナ感染症拡大に伴い延期となった。 今年度はコロナの影響によりフィールドワークの遂行が遅れたため、まず研究協力者の出口翔大博士(福井市自然史博物館)とともに既存の関連データの解析も行った。石川県河北潟干拓地とその周辺の各農地タイプ(蓮田・水田・麦大豆畑・牧草地)において越冬期と繁殖期初期の鳥類群集を定量的に評価した。河北潟全体で合計24種の鳥類が確認された。種数累積曲線による解析の結果、蓮田および水田は麦大豆畑および牧草地よりも有意に高い種数を有することが明らかになった。とくに湿地性の鳥類が蓮田や水田環境を利用していたことが主な理由としてあげられる。つまり、水田や蓮田は,湿地生態系を利用する鳥類に対して代替的な生息地環境を提供していたといえる。一方、麦大豆畑や牧草地はヒバリのような草地性鳥類にとって好適な生息地として機能していた。河北潟において湿地性および草地性鳥類両方の多様性保全が重要であり、本研究はそれに配慮した農地景観作りを行う上で基礎的な生態情報を提供した。 さらに、全国スケールおける森林性鳥類ノジコの繁殖分布データを用いて、森林分断化率(林縁の密度)がノジコの繁殖分布を規定するか、ということを調べた。その結果、林縁密度が上がるほど、ノジコの分布確率が上がるということがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症の影響により、フィールドワークの遂行に遅れが出たため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の秋から冬にかけて、昨年度行う予定であった鳥類群集の調査を福井県にて行う。その際、昨年度設定した調査区において、植生調査・毎木調査の続きも行う。 データ取得後は統計解析を行い、2022年度3月に開催される日本生態学会での発表を目指す。同時に1シーズンのデータを用いた短報論文執筆も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度の間に、複数回に渡りフィールドワークを行う予定であった。その際、交通費や調査補助員への謝金、調査用具を購入する予定であった。しかし、フィールドワーク遂行がコロナ感染症拡大のために遅れが生じたため、次年度に繰り越しする運びとなった。
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