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2021 年度 実施状況報告書

小規模金採掘(ASGM)実施国への不適切な水銀貿易の検出法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K17922
研究機関国立研究開発法人国立環境研究所

研究代表者

程 英超  国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環領域, 特別研究員 (40885836)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワード水銀 / 小規模金採掘(ASGM) / 水銀貿易 / 検出法 / 水俣条約
研究実績の概要

本研究は、ASGM実施国を介した不適切な水銀貿易の検出・判定手法を確立することを目的とし、三つの課題に取り組んだ。2021年度の進捗概要を以下に示す。課題1)全球的な水銀フロー:1995年から2018年まで231国・地域における水銀インフロー(採掘、再生量、輸入)とアウトフロー(輸出と見かけ消費量)のマスバランスを算出した。BACIデータベースを用い、約5000の貿易品目から水銀含有可能性のある112品目をそれぞれの水銀含有量を推計した。課題2):研究対象国、すなわち39のASGM実施国をリストに整備し、2010年から2018までASGM用途の水銀使用量を推計した。さらに、水銀管理の視点から水俣条約の批准・加入状況及び国家行動計画(NAP)の提出状況に関する情報を収集した。課題3)不適切な水銀貿易の検出・判定に関しては、課題1)と2)によるデータに基づき、2010年から2018年にかけて、39のASGM実施国においてデータの不整合性から不適切な水銀貿易存在した可能性を検討した。特に、2017年水俣条約発効後の国際貿易におけるデータの不整合性を研究した。地域別では、アフリカと中南米には水銀の見かけ消費量よりも高いASGMでの水銀利用量があり、不適切な水銀貿易があった可能性が高いと見られる。一方、アジアではASGMでの水銀利用量より極めて高い水銀の見かけ消費量が見られたが、その原因は、中国やインドにおける他部門の水銀利用が大きかったと考えられる。アフリカ各国は、水俣条約を批准したほか、NAPをはじめ水銀対策を積極的に取り組んでいる。しかし、不適切な水銀貿易が存在する可能性の高い国として、スーダンとベネズエラは水俣条約に加入されていない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

小規模金採掘は最も大きな水銀排出源であり、国内外で注目されている。日本国内の研究者との交流を広めたことにより、貴重な情報やアドバイスをもらったため、研究はおおむね順調に進行している。また、国際連携により海外の研究協力者と論文を共著している。現在、1報の査読付き原著論文(英文)を投稿済み(査読中)であることに加え、更にもう1報の投稿準備を進めている。

今後の研究の推進方策

本年度は、不適切な水銀貿易フローが検出された研究対象国・商品などの情報を多媒体の発信を検討する。
1)イベント:国際連携を深めつつ、研究成果を積極的に発信する。特に、水俣条約の有効性評価を念頭に、国内外の研究者を集めて小規模金採掘での水銀利用を中心に、水銀問題の議論の牽引、場の形成;
2)日本語・英語・中国語での成果発信:学会発表(日本国内、国際学会)、雑誌論文の執筆・査読対応;
3)多媒体での発信:動画またはオープンソースのソフトウェアによるデータの視覚化。

次年度使用額が生じた理由

1)新型コロナウイルス感染症拡大により国内の出張が困難になり、予定通り旅費を使用しなかった。2)学会参加はオンライン・ハイブリッドとなり、海外渡航の予定は変更された。
これらの費用は、対外発信の為の代替手段として2022年度に開催を予定しているイベントの開催費用や海外から関連研究者の招聘費用として使用する計画である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)

  • [国際共同研究] Adolfo Ibanez University(チリ)

    • 国名
      チリ
    • 外国機関名
      Adolfo Ibanez University
  • [国際共同研究] University of British Columbia(カナダ)

    • 国名
      カナダ
    • 外国機関名
      University of British Columbia
  • [学会発表] Global mercury trade and use for artisanal and small-scale gold mining (ASGM)2021

    • 著者名/発表者名
      Cheng Y., Nakajima K., Nansai K.
    • 学会等名
      International Industrial Ecology Day 2021 (2021)
    • 国際学会
  • [学会発表] Detection of improper mercury flow to countries with artisanal and small-scale gold mining (ASGM) activities2021

    • 著者名/発表者名
      Cheng Y., Nakajima K., Nansai K., Jacopo S.
    • 学会等名
      icRS 2021 International Conference on Resource Sustainability (Virtual) (2021)
    • 国際学会
  • [学会発表] Evaluation of improper mercury trade flow to the artisanal and small-scale gold mining (ASGM) sector2021

    • 著者名/発表者名
      Cheng Y., Nakajima K., Nansai K.
    • 学会等名
      World Resources Forum (2021)
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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