研究課題
我が国における再生可能エネルギーの社会的受容性を理解し、エネルギー政策の形成及び再生可能エネルギー事業の実施に資することを目的とした本研究は、GISデータを活用した機械学習の手法により、再生可能エネルギーの受容性に影響を及ぼす要因を空間的観点から解明している。これまでの研究で指摘されている、環境への関心、年収、年齢、教育水準といった社会経済的要因に加え、人工・自然環境や既存発電設備からの距離などの空間情報を考慮することで、再生可能エネルギー源ごとの社会的受容性に関する新たな洞察が得られている。特に、メガソーラー事業においては、NIMBY問題が日本国内においても顕在化していることが示されている。アンケートデータとGISデータを組み合わせることにより、各種生態系に対する住民の選好を分析し、その結果を基にした研究論文は、国際ジャーナルに掲載された(計3本掲載)。さらに、本研究の成果に基づき、経済産業省関連部局や大手電力会社との間で成果に基づく意見交換が実施されている。これらの交流は、再生可能エネルギーの社会的受容性を高めるための方策や、エネルギー事業の計画・実施における地域社会との協働のあり方についての理解を深める機会となっている。今後は、分析された生態系に対する選好を活用して、再生可能エネルギーによる土地利用の変化が生態系に及ぼす影響を定量化し、日本における社会的受容性と環境影響の包括的な評価を行う予定である。これにより、地域の福祉向上を目指す政策形成や事業実施に貢献することが期待されている。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Energy Sources, Part B: Economics, Planning, and Policy
巻: 17 ページ: -
10.1080/15567249.2021.1983891
Frontiers in Sustainability
巻: 3 ページ: -
10.3389/frsus.2022.920955
IATSS Research
巻: 47 ページ: 185~195
10.1016/j.iatssr.2023.02.004