研究課題/領域番号 |
21K17929
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
岡田 成弘 東海大学, 体育学部, 特任准教授 (60620771)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 時系列調査 / 学校教育 / 社会活動・団体 / 資源との関わり / ゴミ拾い / ゴミ・リサイクル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「近年の「環境行動につながる重要な体験(Signigicant Life Experience:SLE)」は、どのように変化しているのか」「10年前の東日本大震災は、現在の環境行動にどのような影響を及ぼしたのか」を明らかにすることであった。2021年度は、2011年から2019年に実施した調査で得られた記述データ(有効回答402件)に対して、3名でコーディングを行った。その結果、下記のことが明らかになった。 1.大学生のSLEは、「学校教育」、「社会活動・団体」、「資源との関わり」、「友人・仲間・他者」、「自然・環境の喪失実感」、「自然とのふれあい」、「メディア」、「家族」であった。「学校教育」が最も多く、全体の約3割であった。次の多かったものは「社会活動・団体」であり、全体の約2割であった。 2. SLEの具体的内容は、ゴミ拾いが多かった。ゴミ拾いは「学校教育」、「社会活動・団体」のカテゴリーに含まれていた。 3. SLEによって実施するようになった環境行動は「ゴミ・リサイクル」に関わるものが最も多く、5割を超えていた。その他に、「省エネ」、「普及・啓蒙」などがあげられた。 4.東日本大震災は、「資源との関わり」という意味を持ち、その直後に大学生のSLEになりえるが、その影響は徐々に弱くなっていた。 以上のことから、我が国で環境教育が本格的に普及・推進され始めて約20年が経過した今、学校教育や社会団体の活動がSLEとして表出されるようになったことが示された。特に、ゴミ拾いという活動が、多くの大学生の環境行動のきっかけとなり、日常生活のゴミ削減やリサイクルにつながっていた。また、特殊な体験ではあるが、東日本大震災によって生じた水や電気などの資源との関わりが、SLEになる可能性も示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
RQ1については概ね順調に進んでいるが、RQ2についてはやや遅れているという状態である。 RQ1について、初年度は、記述データの内容分析をし、SLE領域を先行研究などと比較することが目標であった。これらの作業は終了し、2022年度7月に海外での研究発表に申し込みをし、受諾されたため、現在発表準備中である。また、2022年度後半に論文投稿の予定であったが、6月には論文投稿準備が終了しする見込みであるため、少し前倒しして投稿することができそうである。 一方、RQ2について、面接対象者の選別・調査依頼については、2021年度から2022年度前半にかけて行う予定であり、可能であれば2021年度から面接を開始する予定であった。しかし、RQ2については、少し遅れが生じている。面接調査の対象者の選定は大方終了しているが、できる限り対面式で行いたいと考えている。コロナウィルス感染状況によるが、面接調査は秋以降に実施する予定である。ただし、それ以上遅らせることはできないため、秋以降感染状況が落ち着かない場合でも、zoomなどを用いたウェブ面談を用いて、面接を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
RQ1については、6月までに「環境教育」に投稿し、2022年12月までに掲載決定を目指す。 RQ2については、コロナウィルス感染状況が落ち着けば、2022年10月から2023年3月に対面式で面接調査を行う予定である。もし、感染状況が落ち着かなかった場合でも、zoomなどのウェブ面談で面接を実施する。そして、面接を実施しながら、分析を行い、2023年度中盤に学会発表および論文投稿をできるよう進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス感染状況により、予定していた学会大会参加及び面接調査に関わる旅費を使用することがなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度の外国旅費にかかる金額が当初の予算より多くなりそうであること、また、面接調査の費用も必要になるため、それらに充てる予定である。
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