研究課題/領域番号 |
21K17936
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
須永 恵美子 東京大学, 附属図書館, 特任研究員 (00722365)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | デジタル・ヒューマニティーズ / パキスタン / イスラーム / 人文情報学 / 南アジア / 北インド / コミュニケーション / 宗教書 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、グローバル化した現代における南アジアを中心とした言語文化の理解のため、ウルドゥー語のコミュニケーションに関する基礎的な研究基盤をつくり上げることにある。1年目の本年は、南アジアで出版された宗教関連一次資料および翻訳資料の収集・分類と、イスラーム復興における南アジア系宗教諸勢力と翻訳機関の活動の整理に取り組んだ。 第4回「アジアにおける南アジア地域研究コンソーシアム」シンポジウムにおいては、本研究の対象となっている南アジアの宗教団体を中心に、宗教書とその翻訳をによる思想の国外発信について発表した。同様に、第14回アジア中東学会連合(AFMA)大会・兼・第29回韓国中東学会国際会議に置いては、南アジアと中東(オマーン)の事例から、宗教ネットワークのコネクティビティについて議論した。 また、資料を分析するデジタル・ヒューマニティーズ的手法の習得のため、イスラーム信頼学のC01班の勉強会への参加や、ハンズオンセミナーなどで情報収集を行なった。特に、ヨーロッパの大学を中心に開発されたTranskribusという機械学習ソフトにより、アラビア文字を使ったウルドゥー語のテキスト化を試行している。人文情報学的手法を使った最初の成果公開として、日本南アジア学会ではデジタル・ヒューマニティーズ的手法により、ウルドゥー語のAI-OCRについて、その試作段階を公開し、ウルドゥー語の手書き資料の効率的なデジタル・テキスト化についての道筋を議論した。 デジタル・アーカイブを使った研究として、ポルトガルで行われた国際宗教観光・巡礼学会にオンライン参加し、パキスタン国内の巡礼を事例に、歴史新聞の活用を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
南アジア系宗教団体の各種資料の蓄積や分析から、南アジア系宗教諸勢力がどのように翻訳機関を運営していたかを明らかにできた。東南アジアや中東において収集していた資料についても、その成果をまとめ学会での口頭発表、原稿執筆(次年度以降刊行予定を含む)に当たれた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、紙資料のみならず、インターネット上の言説空間において、宗教教育を巡る使用言語の分析に取り組むために、バーチャル空間上の対象の選定や、先行研究の整理に当たる。 また、今後も引き続き、人文情報学的手法の習得を続け、ウルドゥー語資料の最適な分析方法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末を目安に資料収集のため短期の出張を予定していたが、コロナ禍が継続したため、一切の出張を取りやめた。このため、全額を使用することが難しく、次年度に持ち越した。 翌年度も、出張が可能かどうかを見極めながら、現地でしか収集できない資料の収集と、出版社へのインタビューを予定する。
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