研究課題/領域番号 |
21K17936
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
須永 恵美子 東京大学, 附属図書館, 特任研究員 (00722365)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | ウルドゥー語 / パキスタン / デジタル人文学 / テキスト化 |
研究実績の概要 |
本研究の成果の一部が『イスラーム・デジタル人文学』(2024年・人文書院)として、共編著の中に収録された。本書は、イスラーム地域の研究をデジタル人文学からとらえなおすことを試みた研究書であり、テキスト化に関する章においては、ウルドゥー語のOCR(自動文字認識)についての成果をまとめた。現在本書についてのフィードバックを各所からいただいており、このOCRを活用したデジタルアーカイブの活用への議論へ研究を展開する見込みである。 また、これまでに本研究で収集・整理してきた資料を基に、「GISを用いたパキスタンにおける出版産業の可視化と空間的展開―書店・出版社の空間データ構築とその分析可能性―」という論文を『高崎商科大学紀要』より発表した。これは、パキスタンのラホール、カラチの出版社の情報を地図上にまとめたものであり、この過程で住所表記の揺れ、地図上での地点の特定についてなどの課題が明らかになった。 さらに、海外でイスラームやアラビア語に関するデジタル人文学に携わる研究者との人的ネットワークを広げることができた。デジタル人文学が盛んなヨーロッパや、現在デジタルアーカイブなどの様々な取り組みが行われる中東・湾岸諸国に対して、日本において行われている研究が可視化されていない問題に度々議論が及んだ。今後の研究成果の公表や公開の方法、従来の研究成果を可視化しアウトリーチするためのサイエンスコミュニケーターのような役割の重要性についても言及したい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『イスラーム・デジタル人文学』を刊行することにより、これまでのイスラーム地域研究とデジタル人文学を架橋した研究を一つの形にできた。 一方で、本書の全体通しては南アジアに特化した成果ではなかったため、さらなる研究の余地が残されている。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、宗教教育の中でもクルアーンを中心とした出版と翻訳についての分析を行う予定である。 引き続きデジタル人文学的手法を学びつつ、資料の電子公開や整理についての実践的な知識を習得したい。 また、アメリカで開催されるデジタルヒューマニティーズ国際会議への出席を予定している。
|