研究課題/領域番号 |
21K17938
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松田 和憲 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特任研究員 (50884699)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | パキスタン / 宗教政党 / デーオバンド派 / バレールヴィー派 |
研究実績の概要 |
本研究ではパキスタンにおける宗教学校、宗教政党、政府のイスラーム化政策に焦点を当て、パキスタンにおいてウラマー(宗教学者たち)が政権に対してどのように関与していったのかを明らかにすることを目標にしている。2021年度は主にデーオバンド派宗教政党に焦点を当てて研究を行った。 2021年度の研究実績は以下の通りである。①日本パキスタン協会の会報誌『パーキスターン』にて、パキスタンにおける宗教政党に関する解説記事を連載している。該当年度分として2021年7月号と10月号に投稿を行った。②『宗教問題』誌において、ターリバーン創設者の「公式」伝記の翻訳及び解説連載を始めた。2021年8月にアフガニスタンにおいてターリバーン政権が復活したことは周知の事実である。パキスタンの軍部やデーオバンド派宗教政党はターリバーンに影響力を有しているため、アフガニスタンとの関係性も視野に入れて考察することが求められている。該当年度分として 2021年11月号と2022年2月号が含まれる。③2020年にアメリカで出版されたデーオバンド派とバレールヴィー派の思想的対立に関する研究書の書評を『イスラーム世界研究』に投稿した。本書表が掲載されている巻は2022年3月に出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年5月から大学の籍を残しつつ、外部委嘱員としてパキスタンのカラチに滞在することとなった。そのため、パキスタン国内に滞在しつつ、研究することが可能となっている。また週に一度、元カラチ大学教授のムイーヌッディーン・アキール博士の邸宅を訪問し、宗教政党の動向に関する情報収集及び意見交換を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年5月からパキスタンのカラチに滞在することとなったため、現地滞在は可能となったものの、コロナ禍のため宗教学校等への訪問は控えていた。2022年度は状況が落ち着き次第、宗教学校等での聞き取り等を実施する。 2022年度の研究発表に関しては、少なくとも3件行う予定である。2010年代に勃興したバレールヴィー派宗教政党のパキスタン・ラッバイク運動(TLP)と冒涜法に関して日本中東学会年次大会等で報告を行う。 また2022年夏に予定していた資料収集等のためのアメリカ渡航は、コロナ禍の制約もあり難しい状況が予想されるため、実施しない方向で進めている。その代わりにパキスタン国内での調査に注力したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は仕事によるパキスタン滞在が可能となったため、またコロナ禍による各種制限のため、研究のための旅費及び物品購入費に関して次年度使用額が生じた。コロナ禍による各種制限が撤廃され次第、2022年度はパキスタン以外の国への旅費及び物品購入費に充てる。
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