研究課題/領域番号 |
21K17963
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
|
研究機関 | 埼玉大学 (2022-2023) 星槎大学 (2021) |
研究代表者 |
東 智美 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (70815000)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 海外農業投資 / ジェンダー / 小規模農民 / 出稼ぎ労働 / ラオス / バナナ |
研究成果の概要 |
3年間の研究を通じて、バナナ農園への出稼ぎによって得られた収入を、女性が自ら営む貸金業・小売業に投資することで、家庭内・村内での経済的な地位が高まるといった「成功例」が見られる一方で、出稼ぎが経済的に「失敗」に終わると、女性の家事労働の負担、生計の担い手としての負担が重くなるケースが見られた。バナナ農園への出稼ぎがハイリスク・ハイリターンの現金収入手段であることは認識されるようになってきているが、契約の出稼ぎによって期待した収入が得られなかった家族の方が日雇い労働の形態で出稼ぎを継続する傾向にあり、日雇い労働を通じ、農薬による健康被害や麻薬の服用が、学齢期を終えた若者世代にも拡大している。
|
自由記述の分野 |
開発社会学
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によって、バナナ農園での出稼ぎは、国際労働移動と比較し、合法かつ参入障壁が低く、出身村との行き来が比較的容易で、家族の帯同が可能であることによって、子どもを持つ女性・家族にとって選択されやすいことが明らかになった。出稼ぎ労働が学齢期を終えた子ども世代にも拡大しつつあること、送り出し村が山岳部の僻地に拡大している現状を明らかにし、農薬の管理や安全対策の徹底、麻薬取り締まりの強化などの対策、出稼ぎによる健康面・安全面でのリスクや法制度に関する啓蒙活動が喫緊の課題であることを指摘した。これらの提言を2024年度に国際学会で報告するとともに、ラオス語の報告書にまとめる予定である。
|