研究課題/領域番号 |
21K17973
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研究機関 | 長野大学 |
研究代表者 |
横関 隆登 長野大学, 環境ツーリズム学部, 准教授 (80826800)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 景観 / 観光政策 / 自然公園 / 文化財 / ブランド |
研究実績の概要 |
令和3年度は,環境省に自然公園法に基づき指定されている「中部山岳国立公園」の中に立地する,文化庁に文化財保護法に基づき指定されている特別名勝及び特別天然記念物「上高地」を対象とし,自然と文化の複合させた景観概念としてのCultural Landscape概念を手掛かりにフィールドワークを重点的に実施した。国立公園と文化財の双方から評価される景観とそれに留まらない現行法の前身にあたる国立公園法(昭和六年四月一日法律第三六号)と史蹟名勝天然記念物保存法(大正八年四月十日法律第四十四号)の指定以前から評価されていた原型としての景観の特性にまで踏み込んで調査が進められた。上高地は,近代登山家のウォルター・ウェストン(Walter Weston,1861-1940)によって発見されたとされるものの見方を手掛かりとし,ウェストンが始めて歩いた登山道を辿って,当時の景観の特性を把握することが出来た。こうした経験を基に上高地の枠組みに収まらずに日本アルプス関連の人文社会科学的知見の情報収集に努め,景観評価に欠くことの出来ない資料の選定・収集を進めた。また,文化財保存管理計画の策定主体として松本市と連携し,調査・計画図書の所在確認や計画課題に関してのインタビュー調査を実施した。この他に予備的にも自然地域における観光政策の効果向上に向けた検討に着手し,特に自然行政が観光行政と連携する国立公園満喫プロジェクトの推進が自然公園行政に与える影響を観光ガイドブックへの分析を通じて検討してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の感染状況の拡大の影響で,全国各地の事例を収集することが困難となり,地理情報システム(GIS)の解析に用いるためのパソコンなどの発注から納品に至る調達に時間を要していた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は長野県内調査を重点的に推進させ,現地や自治体等へのフィールドワークによって総合的に調査成果が得られている。次年度も新型コロナウィルス感染症の動向次第で研究遂行上の制約を受ける可能性が排除できないため,安定的に研究遂行が可能な長野県内調査を先行的に進めることとする。長野県内調査結果は,全国的な視野において精度の高い仮説に位置付けられ,最終年度に全国的な仮説確認作業へと展開させていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
原因は新型コロナウイルス感染症の感染状況からの影響である。県外フィールドワーク調査の実施が困難になったため,最終年度に持ち越しとなった。また,パソコンなどの機材調達にも時間を要したため,次年度に持ち越しとなった。機材調達を終えると共に,新型コロナウイルス感染症の感染状況を見極めながら,県外フィールドワーク調査の実施とその調査準備をアルバイト雇用によって実現する。
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