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2023 年度 実施状況報告書

日仏伊の食文化の真正性と農村ツーリズム:ジェントリフィケーションとSDGsの間で

研究課題

研究課題/領域番号 21K17975
研究機関帝京大学

研究代表者

森崎 美穂子  帝京大学, 外国語学部, 准教授 (60812708)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード気候変動 / 低炭素ラベル / SDGs / セベンヌ / アルデシュ / AOC/AOP / 地理的表示制度 / 地域振興
研究実績の概要

本研究は、SDGsの観点から、地域の食文化と景観の真正化を通じた持続的農村ツーリズム振興の実態解明を目的としている。山岳地域に特徴的な果樹「栗」を中心とした農村ツーリズムを共通テーマとし、日本、フランス、イタリアの比較研究を行う。
2023年度は、引き続き、山岳地域に特徴的な果樹「栗」を中心について調査を行った。アルデシュ栗AOPの組合(CICA)では、地理的表示「統制原産地呼称 AOC」の登録時では検討していなかった高温と乾燥に強い栗の品種をあらためて分析している。また栗の生産者が炭素貯留量を計算できるツールを提供し、炭素貯留を促進する栗の農業慣行を見出すことを挙げている。またアルデシュ農業会議所では、気候変動とその農業の影響についての調査と情報提供を行っている。アルデシュ県では、すでに2018 年に環境移行省が作成した「低炭素ラベル」(2050 年にカーボンニュートラルを達成するために温室効果ガス排出量を大幅に削減することプロジェクト)を実施している。このように本研究課題の調査開始時点での生産者の危機感が、確実に組合の指針・行動へと移されていた。テロワール産品による地域振興、持続的農村ツーリズムは、気候変動による収量の減少に対応することと同時に脱炭素的な農業に転換していることが、これまでの価値(景観と食文化の接合)に加え、SDGsの観点から地域も評価される時代になるであろう。
また2023年にセベンヌ地域の栗が地理的表示産品として登録されたことで追加調査を行ったことで、アルデシュ栗AOPのフードシステムの特徴がより鮮明になった。しかし、比較的近い地域の栗産地が地理的表示制度に登録されたことで、産品の市場での価値の差別化や観光のプロモーションについても今後は産地間競争が生じる可能性があるなど課題も明らかになった。イタリアの調査が大幅に遅れているため、文献調査を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

イタリアでの現地調査が出来なかったため。また国際学会での発表ができず、国際ジャーナルの投稿の準備が遅れているため。

今後の研究の推進方策

地域の食文化と景観の真正化を通じた持続的農村ツーリズムの取り組みについて、文化遺産(資源)とSDGsに関わる点、とくに地域の景観となる栗林の維持と炭素貯留量測定ツールの導入など「見える化」の成果について引き続き調査を進める。イタリアの文献調査を進める。文化経済学会で報告を行い、論文の投稿を行う。

次年度使用額が生じた理由

イタリアでの現地調査が出来なかったことが使用計画に齟齬が生じた主たる原因である。
文献調査などで行い、調査の遅れを補っている。

備考

オンライン国際教育プラットフォーム「Japan Virtual Campus(JV-Campus)」で研究成果を報告した国際シンポジウムの編集版を公開した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] テロワール産品を通じた農村回帰 ーアルデシュ栗(フランス)を事例に2024

    • 著者名/発表者名
      森崎美穂子
    • 雑誌名

      大学国際日本学研究

      巻: 2 ページ: 47-76

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] テロワール産品を通じたスキーリゾートの活性化:フランスのサヴォワ地方を例に2023

    • 著者名/発表者名
      森崎美穂子
    • 学会等名
      文化経済学会<日本>
  • [備考] JVcampus シンポジウム「日仏におけるコモンズとしてのテロワールチーズと持続的観光・地域振興」

    • URL

      https://www.jv-campus.org/jvc-content/354967/

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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