研究課題/領域番号 |
21K17978
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
鈴木 祥平 東京工科大学, メディア学部, 助教 (70826825)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 観光 / OTA / 新型コロナウイルス / デズティネーション・マーケティング / 宿泊予約サイト / ビッグデータ / Webデータ / クラウドファンディング |
研究実績の概要 |
本研究は,宿泊予約サイト(OTA)データを中心に,現在未活用のWebデータの新たな活用法を示すことで,DMO等の観光振興組織によるデータオリエンテッドな誘客策の実施を支援するものである.2022年度の実績は以下の通りである. まず,OTAデータを用いてコロナ禍において宿泊予約を維持している宿泊施設の特徴およびGoToトラベルキャンペーンの影響を分析した.その結果,新型コロナウイルスの影響により,多くの宿泊施設の予約が減少していることが定量的に示された.そして,コロナ禍においては価格帯の高い宿泊施設が予約を維持する傾向にあることに加え,無料駐車場を持つ宿泊施設も予約を維持していたことが明らかになった.これらはコロナ禍における観光者の感染回避行動が影響していると考えられる.また,GoToトラベルキャンペーン実施時には未実施と比較して,4万円以下の宿泊施設の予約が増加する傾向にあり,キャンペーンの割引率を最大にしようとする消費者心理が示唆された.その他には,地域の観光資源に焦点を当てた分析により,コロナ禍において『温泉』が特に人気の観光資源であることが示された. 上記のOTAの分析に加えて,新たな情報源としてコロナ禍で急速に注目の集まった「クラウドファンディング」のプラットフォームにも着目した.活用への前段として,クラウドファンディングの観光関連プロジェクトの特徴とその成功要因について分析した.分析を通じて,クラウドファンディングにも地域ごとの特徴があり,プロジェクトの内容の傾向や規模,成功率などが異なることが明らかになった.これらのデータもWeb上から容易に入手可能であり,データの不足する地域の観光振興における新たな情報源として期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
OTAデータを用いた実証研究の論文(垂直的),新たな情報源としてクラウドファンディングに関する論文(水平的)等の成果を挙げているため.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度はOTAの予約実態の分析により,予約へ影響を与える宿泊施設の特徴やキャンペーンの影響が明らかになった.2023年度はこうした実証研究の信頼性を高めるために,改めてOTAデータと宿泊実態の整合性について整理する.そして,より細かい地域に焦点を当てて,地域の特徴や取り組みに応じて宿泊予約がどのように変化しているのかを,既存の宿泊統計では難しい日単位や週単位で分析する予定である.また,2022年度に活用可能性が示されたOTA以外の新たな情報源の活用法についても継続して検討していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会への参加がなかったため,次年度使用額が生じた.次年度では,当初の予定以上の学会参加および論文投稿のための費用に助成金を使用する予定である.
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