研究課題/領域番号 |
21K17979
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
那須野 育大 大阪産業大学, 経営学部, 准教授 (30781546)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 産業観光 / 官民連携 / ドイツ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本の産業観光活性化方策を“公共主導”と“民間主導”の両観点から提示することにある。特に、“民間主導”の観点に着目する。本研究は、3つの段階から構成される。 第1段階は、“公共主導”の産業観光から見出した産業観光活性化方策の整理・体系化である。既に筆者は、日本の産業観光活性化方策を“公共主導”の観点から明らかにした。すなわち、ドイツ・ルール地域における「産業文化の道」の事例分析を通じて、(1) 基礎的データを考慮したマーケティングの実施、(2) 多様な組織による持続可能なマネジメントの実施、という2つの知見を見出している。これら2つの知見について、2021年度、筆者は「産業観光活性化方策の提案 -ドイツ・ルール地域の事例分析から-」((単著・査読付)『日本地域政策研究』第27号、pp.90-97、2021年9月)として整理・体系化を図った。ここでは、ドイツ・ルール地域で「産業文化の道」の産業観光を推進するルール地域連合とツォルフェライン財団へのインタビュー調査における内容や資料等を交えた考察を行っている。 第2段階は、“民間主導”の産業観光の分析を通じた成功要因の抽出である。すなわち、ドイツ・アウトシュタットにおける産業観光をモデルケースと位置づけ、ここでの成功要因の抽出を試みる。2021年度、筆者はこの取り組みに着手出来ていない。 第3段階は、“公共主導”と“民間主導”の成功要因の融合に基づく日本の産業観光活性化方策の検討である。具体的には、日本の名古屋・中京地域に着目して、産業観光施設利用者へのアンケート調査結果に基づき、(1) 産業観光を軸とした地域の魅力向上、(2) 企業による小売部門と連携したマーケティング、の重要性を明らかにする。2021年度、筆者はアンケート調査項目を取りまとめ、実施の段取りを済ませた。2022年度、迅速に実施・分析に着手する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度、筆者は本研究を当初想定通り進められなかった。これは、世界的に広がるコロナ禍のためである。2021年度、ドイツは、政府の感染症危険情報「レベル3(渡航中止勧告)」が継続していた関係で、現地調査及びインタビューの実施が困難な状況にあった。このため、本研究では、上述の「研究実績の概要」記載の第2段階「“民間主導”の産業観光の分析を通じた成功要因の抽出」に未だ着手出来ていない。 こうした状況下、2021年度、本研究では、同第1段階「“公共主導”の産業観光から見出した産業観光活性化方策の整理・体系化」と同第3段階「“公共主導”と“民間主導”の成功要因の融合に基づく日本の産業観光活性化方策の検討」を優先して進めてきた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度、既に筆者は、上述の「研究実績の概要」記載の第3段階「“公共主導”と“民間主導”の成功要因の融合に基づく日本の産業観光活性化方策の検討」に着手している。これまでに、アンケート調査項目を取りまとめ、実施の段取りを済ませた。2022年度、まずはこの第3段階について、迅速に実施・分析を進めたい。 2022年度以降、続いて、上述の「研究実績の概要」記載の第2段階「“民間主導”の産業観光の分析を通じた成功要因の抽出」に着手したい。2022年4月1日、ドイツは政府の感染症危険情報「レベル3(渡航中止勧告)」から「レベル2(不要不急の渡航中止)」に引き下げられた。このことを踏まえ、現地調査及びインタビューの実施を試みる。すなわち、フォルクスワーゲン社(アウトシュタットの運営主体)とヴォルクスブルク市へのインタビューを通じて、(1) 小売部門と連携したマーケティング、(2) 産業観光を軸とした地域の魅力向上、という2つの成功要因を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度以降、先述の「研究実績の概要」記載の第2段階「“民間主導”の産業観光の分析を通じた成功要因の抽出」を行うべく、ドイツでの現地調査及びインタビューの実施を試みる。すなわち、フォルクスワーゲン社(アウトシュタットの運営主体)とヴォルクスブルク市へのインタビューを通じて、(1) 小売部門と連携したマーケティング、(2) 産業観光を軸とした地域の魅力向上、という2つの成功要因を明らかにしていく。このための必要経費として、「次年度使用額」を充当する。
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