研究課題/領域番号 |
21K17982
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研究機関 | 立命館アジア太平洋大学 |
研究代表者 |
久保 隆行 立命館アジア太平洋大学, サステイナビリティ観光学部, 教授 (70730357)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 温泉産業クラスター / 長期滞在化 / 高付加価値化 / 多様化 / 法制度改革 / 社会システム改革 / DX化 / 境界融合 |
研究実績の概要 |
2年度目にあたる本年度においては、コロナ禍の影響による世界的な移動制限により海外における現地調査は行えない状況であった。そのため、初年度と同様に別府市および海外調査対象地域のそれぞれにおける温泉産業クラスター形成にかかわる温泉関連産業の構造を主に文献調査によって把握することを試みた。 本年度はとりわけ、コロナ禍の影響による観光およびビジネスツーリズムの変化に着目し、温泉都市における観光産業を基盤とした新たな産業クラスター形成の可能性について検討した。その結果、別府市の中長期の滞在型温泉都市へのシフトの必要性を見出すことができた。具体的な方策として、既存宿泊業者のリノベーションやコンバージョンに加え、地域内における伝統的な観光業者の主体的意識変化・経営方針転換および観光業以外の産業や組織との連携が不可欠であることを明らかにした。さらに、マクロ的視点としては、副業・兼業やプレジャー・ワーケーション、リモートワークを認める企業の新しいワークスタイルへのシフトおよび国の健康保険制度(リハビリや温泉療法への保険適用)や教育制度の変革(デュアルスクール制度「区域外通学制度」)とも連動しなければならないことを明らかにした。そのうえで、日本の温泉都市における温泉産業クラスター形成は、地域におけるクラスター構成要素の再編のみならず、国家的な法制度や社会システムの改革が加わることによって実現可能となることを提示することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍による移動制限のため、現地調査を進めることができず、文献にて調査した内容を現地において確認し、補完する情報を収集することができていない。
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今後の研究の推進方策 |
世界的なコロナ禍の縮小による移動制限の緩和にともない、研究計画書に示した海外における温泉保有地域の現地調査を順次遂行していきたい。令和5年度にフランス、イタリア、ドイツ、令和6年度にイギリス、アイスランド、令和7年度にニュージーランドの調査を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による世界的な移動制限により主に現地調査にかかわる出張旅費を消化できていないため。令和5年度にフランス、イタリア、ドイツ、令和6年度にイギリス、アイスランド、令和7年度にニュージーランドの調査を予定している。
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