研究課題/領域番号 |
21K17990
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
山田 昭子 専修大学, 文学部, 兼任講師 (80823997)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ジェンダー / 少女雑誌 / アスリート / 少女の友 / 少女倶楽部 / 運動小説 / スポーツ / 昭和 |
研究実績の概要 |
令和4年度は、昨年度の『少女倶楽部』の調査結果に伴い、これまで収集した小説以外の人見絹枝、前畑秀子といった女子アスリートの記事を中心に分析した。 また、『少女倶楽部』の兄妹誌である『少年倶楽部』との比較を通し、両誌に作品を掲載していた小泉葵南についても引き続き調査を進め、その仕事についてまとめていった。小泉葵南(小泉三郎)は明治21年茨城県水戸市に生まれ、19歳で東京日日新聞に入社したのち、読売新聞記者を経て『野球界』の主幹として活躍した。特に『野球界』においては多くの記事を残しており、球界との密接なつながりのみならず、周辺人物とのつながりも明らかになった。 小泉葵南の著述は大きく分けて観戦記、ハウツーもの、周辺人物記、創作物に分けられる。今回の調査においてそのすべてを網羅することはできなかったが、著作物の傾向を分析し、中でも小泉葵南が執筆した運動小説のうち、『少女倶楽部』と『少年倶楽部』掲載作品にはどのような違いがあるかを比較した。その結果、少年向け読み物では「精神力がスポーツの技術を向上させる」ことをテーマとし、少女向け読み物には「スポーツが精神力を向上させる」ことをテーマとする書き分けがうかがえた。だが少女小説の方では少女が競技に向かう動機付けが葵南の中で不十分であったために、その後作品が描かれることはなかったのではないか、という結論に至った。このように、同一出版社刊行の二誌を比較する中で見られる男女差については来年度も引き続き行っていきたい。 『少女の友』については昭和15年以降の号を中心に掲載作品を調査、収集し、『日本少年』については欠号分を購入で補うなどした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、予定していた調査が実施できなかった期間があった。このため、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は以下の二点を研究の推進方策とする。 1.『少女の友』『日本少年』調査の続き 2.『少女の友』『少女倶楽部』調査分の論文執筆 なお、文学館未所蔵の資料については引き続き購入も視野に入れながら補うこととしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症の蔓延で資料収集が滞ったため。残額は令和5年度の資料収集代、調査費にあてる。
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