本研究は、3Dプリンティングとも呼ばれるAdditive Manufacturing(AM)という新しいものづくりの手法と、コンピューターを用いたプログラマブルな設計支援を組み合わせ、身体に装着するプロダクトのデザイン手法を、実践を通じて探索することを目的に行った。 AMの特徴を活かし微細な構造を組み合わせて造形することによって、部分毎に柔らかさや変形特性の異なる素材のような振る舞いを実現できる。この特徴的な構造を用いて変形する身体に追従するデザイン要素の探索を行った。 まず、身体の装着を想定し、曲面や曲線を基本要素とした構造を、動的な変形をシミュレーションしながら設計できるツールを開発した。基本要素として、任意の3次元曲線に一定の太さを付与したファイバー構造の変形をシミュレーションするモデルを開発し、身体の動きに合わせた変形の確認・試作を行った。 また、人体の動きを再現する構造の探索として、一定の厚さをもった扁平な断面のリボン状構造を複雑に組み合わせて、手の指のような変形を行う構造の試作を行った。関節として動く部分は曲げ変形を行い、関節以外の部分では変形が起こらないように形状の探索を行い、光造形を用いた柔らかいポリマーを基本素材として試作を重ね、概ね目的とする変形が実現できた。本試作は自動生成ではなく従来的な手作業にて設計を行ったもので行ったが、ここで開発した要素をパラメトリックに生成するためのソフトウェアも開発した。
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