研究課題/領域番号 |
21K18007
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
工藤 真生 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (40738986)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ピクトグラム / 理解度 / 幼児 / 児童 / 多様性 |
研究実績の概要 |
2022年度は、研究で得られた成果を広めるため、国内学会発表2件、国際会議The Symbol Group 2022 Symbol Sourcebook@50での口頭発表、国際雑誌 “Visible Language the journal of the visual communication research” への論文投稿・掲載が研究実績である。 また、2021年度の中学生と知的障害やASDを有する成人の理解度調査の結果から、ISO(国際標準化機構)では対象とされていない幼児や児童の理解度を検証する必要もあると考えた。そのため、アウトリーチ活動の一環として、幼児・児童計30名を対象とし、ワークショップ『ピクトを知り、ピクトで遊ぼう』を実施した。その一部で、「トイレ」「警察」などの対象をイメージして絵を描く調査を実施した。「トイレ」では、85%以上が便器を描き、便器を描いた向き(真上(便器と床の接点が見えない)・横・正面(便器と床の接点が見える))の投影方向と年齢の間に傾向が見られることが示唆された。また「警察」ではJIS(日本で標準使用されている図記号、日本産業規格)で描かれている拳銃を描いた人は10%であり、紋章・制服・帽子などのモチーフを描く幼児・児童が多く見られた。このことから、これまで標準的に使用されているJISのピクトグラムと、幼児・児童にとって理解しやすいピクトグラム のグラフィックエレメントのモチーフが異なることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
理由として、2点挙げられる。 1点は国際会議での発表により、ピクトグラム の理解度に興味のある研究者間のネットワークが構築できたことである。また、国際雑誌に論文を掲載できたことは、良い成果となった。 2点目は、研究開始時は対象としていなかったが、昨年度の結果を踏まえ必要性を感じ、幼児・児童を対象に調査を行い、属性独自の傾向が示唆されたことである。そのため、当初の計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
研究開始時の研究の概要では、「調査結果を基にデザインを制作し、実際の環境下での人の経路探索行動に着目しデザインの評価を行う。」としていた。 しかし、2年間研究を進める中で、「今公共空間で標準的に使用されているサインを、知的障害者やASDを有する人がどのように受け止め、感じているのか」を明らかにすることが先決であることに気づかされた。そのため、最終年度はこの調査を実施する。 また3年間の研究成果を踏まえ、公共施設にサインを実装する計画を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
円安による旅費経費の不足が懸念されたため、海外出張を延長したため次年度使用額が生じた。
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