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2023 年度 実績報告書

多様な障害を包摂するサインデザイン構築のための基礎研究-ピクトグラムに着目して-

研究課題

研究課題/領域番号 21K18007
研究機関九州大学

研究代表者

工藤 真生  九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (40738986)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードピクトグラム / サイン / 知的障害
研究実績の概要

今年度は、公共空間で標準的に使用されているサイン上のピクトグラムについて、知的障害者やASDを有する人がどのような意味に捉えているのかを明らかにした。方法として、知的障害・ASDを有する30名に、彼らの生活に関係があるピクトグラム19項目を選定し、実環境に設置されたサイン上のJIS Z 8210案内用図記号のピクトグラムの意味内容を問う調査を実施した。結果、「案内i」「案内所?」「障害物注意」「上り段差注意」「進入禁止」「非常口」「駅事務室」の理解度が低く、知的障害者やASDを有する人の実生活の中で機能を果たしていないことが推察された。このうち、「駅事務室」は推奨度B、それ以外のピクトグラムは全て推奨度Aであり、安全性及び緊急性に関わるもの、多数のユーザーにとって重要なもの及び移動制約者へのサービスに関わるもののため、図形を変更しないで用いることが強く要請されているものであった。
これまでピクトグラム単体を対象とした理解度調査結果では、知的障害やASDを有する人にとって「非常口」は、理解しやすいピクトグラムとして評価されていた。しかし本調査結果から実空間でのサイン上では「非常口」のピクトグラムは、理解しにくいことが明らかとなった。また、理解度が低いピクトグラムの誤答内容を分類した結果、1)見たままの形を答える、2)類似対象との誤認、3)過去にピクトグラムを見た場所の記憶とピクトグラムの意味が入れ替わる、の3パターンが誤答の傾向としてみられた。3)はピクトグラム単体を対象とした理解度調査では、得られなかった誤答内容であった。サインや実環境と合わせてピクトグラムの評価をすることで、知的障害やASDを有する人がそれぞれの生活環境でピクトグラムをどのような意味にとらえているのか、より近い状態で評価できることがわかった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 社会包摂のためのピクトグラムとサイン- FINA 世界水泳2023 大会を事例として-2024

    • 著者名/発表者名
      工藤真生
    • 雑誌名

      デザイン学研究作品集

      巻: 29 ページ: 1-6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 知的障害当事者を主体とした映画制作-障害の「社会モデル」の視点から2024

    • 著者名/発表者名
      工藤真生
    • 雑誌名

      a+a

      巻: 15 ページ: 80-97

    • 査読あり
  • [学会発表] ガスコンロ操作部の情報グラフィック: 弱視の多様な障害特性とグラフィックデザインの要望ーピクトグラムに着目して2023

    • 著者名/発表者名
      工藤真生
    • 学会等名
      日本デザイン学会
  • [学会発表] 知的障害者とクリエイターのコミュニケーションの変容ー映画制作活動時における 2 者間のジェスチャーの同期現象に着目して2023

    • 著者名/発表者名
      工藤真生
    • 学会等名
      日本特殊教育学会

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公開日: 2024-12-25  

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