研究課題/領域番号 |
21K18013
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
李 媛 関西大学, 東西学術研究所, PD (90803388)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 玉篇系字書 / 全字形データベース / 字体記述体系 / 日本古辞書 |
研究実績の概要 |
2022年度は、「玉篇系字書の項目構造化による本文記述」を進めている。 玉篇系字書において、[掲出字+音注・義注・字体注]の字書項目のタグ付けと構造化本文の整備を行なった。整備された本文データから、反切部分、字義部分、字体注部分を抽出し、機能別のデータを整理した。特に反切部分では、『篆隷万象名義』における重出字項目ペアにおける異字同音反切を焦点に据え、詳細な考察と成因の分析を行い、その内容を『東アジア文化交渉研究』16巻で発表した。 また、字義部分では、『篆隷万象名義』を例に挙げ、日本の古辞書における漢文節の意味注記について、大東文化大学中国語学科第23回学術シンポジウムで発表した。さらに、玉篇系字書(原本『玉篇』、『篆隷万象名義』、宋本『玉篇』)に対して、その構造化記述に関するTEIマークアップの作業を進めました。得られた知見や問題点については、東洋学へのコンピュータ利用第35回研究セミナーで報告した。 また、高山寺本『篆隷万象名義』を基礎資料として、玉篇系字書全体を対象にし、情報学、書物学、文字学の三つの視点から本文解読にアプローチする古辞書研究の単著『空海の字書 人文情報学から見た篆隷万象名義』を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
玉篇系字書の項目構造化による本文記述に関しては、適宜進行し、国内外の学会において成果を公表し、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
前年に引き続き、玉篇系字書全字形データ作成を進めるとともに、社会情勢に配慮しながら関連する玉篇の敦煌写本調査を再開する予定である。成果は論文投稿、データベース更新の形で公開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
社会情勢を考慮しまして、旅費等の支出は予定よりやや少なく抑えられた結果、次年度に予算が生じた次第である。次年度には、研究成果の公開に利用するためのソフトウェアの購入を計画している。
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