今年度は、デジタルアーカイブの構築手法として静的サイトの概念を適用する研究を進め、その成果を検証した。静的サイトの特徴である、HTMLファイルや画像などの静的コンテンツを基盤とするアプローチが、システム運用コストの削減やサーバ環境の選択肢の拡大に寄与することを確認した。具体的な適用事例として、以下のプロジェクトに取り組んだ。
東京大学史料編纂所「都城島津邸所蔵『琉球并諸島図』デジタルアーカイブ」「日本史用語翻訳グロッサリー・データベース」/東京大学大学院情報学環附属社会情報研究資料センター「Digital Cultural Heritage」/「S×UKILAM LOD Easy アプリ」:多様な資料を活用した教材アーカイブ」のデータをLinked Data化し、関連情報の収集・検索を簡便化するためのアプリケーション/TEI Genetic Editions Viewer: ジャン=ジャック・ルソーのジュネーヴ手稿を対象としたデジタル批判版の試作
これらのプロジェクトへの適用を通じ、IIIFやRDF、TEIを用いた可視化機能の構築を含め、静的サイト構築手法の改良を進めた。特にIIIFの活用においては、IIIFとジオリファレンスの親和性を高めるIIIF Georeference APIを用いた可視化ツールをオープンソースソフトウェアとして公開した。これらの研究成果は学会発表や論文として発信し、研究目的である高い持続性と利活用性を実現するデジタルアーカイブ構築手法の確立に貢献した。
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