本研究は、災害発生時のスムーズな情報共有に向けた情報項目の整理のため、これまで自然災害の被害を受けた全国の自治体の皆様とともに議論を重ねてきた。2021年度には災害時の「情報共有参照モデル」ver.1.0をエクセル形式で公開した。災害が発生すると、現場対応にあたる自治体では被災状況を確認するための情報収集に追われることになる。多様なステークホルダーと情報のやりとりをしながら状況の把握に努めなければならない。「情報共有参照モデル」では、現場で様々な情報がそれぞれのフォーマットで共有されるため、重複情報や最新性の確認をより容易に行うために、ステークホルダー間で共有が必要な情報項目を整理した。 2022年度には「情報共有参照モデル」のブラッシュアップを行った。具体的には、収集が必要な情報の保有者は誰なのかを整理した。基礎自治体が情報の一次ソースであることは少ないため、災害が発生した際にどのように関係者とコミュニケーションをとるのか、あるいは事前にどの程度情報共有の下地を作っておくことができるのかが議論の焦点となった。 これまでの議論にもとづく災害時のデジタル活用については、「デジタル時代の災害対応に向けた提言」として2022年3月にデジタル庁に提出した。現場における個人情報の取り扱いに関する法律的な課題や、「情報共有参照モデル」に基づくデータモデルの在り方などについてまとめた。 この流れを受けて、2022年度の研究活動では、デジタル庁の災害チームのメンバーも交えながら、「情報共有参照モデル」のブラッシュアップを行った。議論の結果は、「情報共有参照モデル」ver1.1としてHPで公開する予定。
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