2022年度は、2021年度に作成した材料メタデータ記述のための簡易メタデータスキーマ「MDR Schema」(https://doi.org/10.48505/nims.3239)と、研究データパッケージのフォーマットであるRO-Crateを用いて、材料関係のメタデータの記述と研究データファイルの登録を行うことのできるアプリケーションを開発した。また、同アプリケーションから出力される研究データパッケージファイルを用いて、研究代表者の所属組織のデータリポジトリである「Materials Data Repository (MDR)」(https://mdr.nims.go.jp)に対して、新たに約1万件のデータ登録を行い、研究者によるメタデータの記述、ならびに材料メタデータと研究データファイルの登録と検索が問題なく行えることを確認した。また、本研究によって開発されたアプリケーションを用いて公開されたデータベース「MDR XAFS DB」(https://doi.org/10.48505/nims.1447)の事例について、論文として発表した。 本研究では、研究データパッケージの作成からデータリポジトリへの登録・公開の自動化を最終的な目標としているが、研究パッケージデータの作成や公開においては、メタデータの内容のチェックや公開の承認など、研究データの流通に関わるワークフローの詳細化が必要となる。今後はこれらのワークフローに関するメタデータの記述形式を確立し、そのメタデータを研究データパッケージ内に含めることを想定している。また、今回の事例を通して、研究データパッケージの手法の材料科学分野以外での応用について提案していきたい。
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