研究実績の概要 |
本年度は, 課題テーマであるアリの空間認識に関しての実験を2つ行った. まず第一に, トラッキング装置を用いて視覚刺激とアリの歩行との間に乖離を生じさせる実験を行った. 視覚刺激を環境側に固定した場合に比べ, 一定速度で左右に刺激を動かす場合の方が, 学習にタイアップしやすいことが明らかとなった. 引き続きデータを取得し, 学習時のアリの動作に関しても解析を進める必要がある. なお, これに関してはすでに複数回の国内学会での発表を行っており, 国際会議での発表も予定している. 2つ目の実験として, トビイロケアリの蟻道修復能力に関する実験およびモデル構築に関する研究も行った. 蟻道途中でフェロモンの消失を経験した場合の集団としての問題解決能力を実験的に示すとともに, シミュレーションを通してその意義を精査した. これに関しても国際会議等で発表予定である. 併せて, 国内学会等でも発表する必要があると思われる. また, 前年度に成果を得た, アリの自由運動時と固定時における視覚情報の学習度合に関する実験については比較生理学の専門誌であるJournal of Comparative Physiology Aに掲載された. 加えて, 前年度行った, トビイロケアリの他個体との衝突が運動を促進させる効果を検証した実験に関しては, reviseを行い現在再投稿中である.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた論文の掲載が, 査読が長引いているため遅れてしまった. そのため論文投稿代に余りが生じてしまった. また, いちぶの実験に関しては実験実施にも遅れが生じている. 次年度は論文を掲載することおよび, 遅れている実験を行い, データの解析も併せて行う必要がある.
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