現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展しており,MRIによる速度場計測におけるオフセット除去技術(Ilik, Otani et al., Magn Reson Med., 2022)や,物理的な保存則に基づく速度場の補間技術(Otani et al., J. Biomech. Sci. Eng., 2022)の構築に成功した.これらの成功を通じて,MRI画像処理から速度場の定量評価までの一連の方法論を構築できた.また,胸部CT画像に基づく左心房内血流の数値解析を通じて,左上肺静脈の切除が左心房の血流動態に与える影響を世界に先駆けて明らかにした (Otani et al., Front Physiol., 2022).血流場の評価にあたり,従来の血流解析でよく用いられてきた運動エネルギなどの巨視的な物理量だけでなく,血液の輸送動態に着目することで,複数の肺静脈から流入する血流が構成する,左心房内の大域的な流れ場の秩序構造の可視化に初めて成功した.この方法論は,今後のMRI計測および数値計算による循環器の血流解析への新しい評価指標としての応用が期待できる.
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