研究課題/領域番号 |
21K18038
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
長谷 栄治 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 特任助教 (50805512)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 線維症 / ブリルアン散乱 / 第2高調波発生 / 脂肪滴 / 弾性率 |
研究実績の概要 |
線維症では,細胞が産生するコラーゲンを始めとする細胞外マトリックスが過剰に沈着した結果,組織が硬化し,臓器機能不全をもたらす.本研究では,線維症における細胞集団と産生されたコラーゲン線維構造の時空間的関係について詳細に評価するため,非線形光散乱を光プローブとして用いることにより,両細胞の線維化における機能をコラーゲン線維形成能の観点から考察し,線維症の病態の理解と治療に向けた知見を得ることを研究の最終目的とする. 令和4年度は,令和3年度に開発した自発ブリルアン散乱顕微鏡を生体組織の計測に適用した.実際の生体試料の計測の場合,標準試料として用いたメタノール等の無色溶液と比較してレイリー散乱光強度が高くなる結果,分光計測の際にそれらが迷光成分として取得スペクトル上に重畳され,微弱であるブリルアン光の計測に困難をもたらす.そこで,はじめにレイリー散乱光を除去する空間マスク等の光学系の最適化を行った.その後.計測時の試料状態についての検討を行った後,NASHモデルマウス肝臓の凍結切片の弾性率測定を行った.光学系の最適化と試料状態についての検討により,肝臓組織の脂肪滴におけるブリルアンスペクトルの取得に成功し,得られた結果について国内学会および国際学会にて発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発した自発ブリルアン散乱顕微鏡の光学系最適化を行い,実際の生体組織におけるブリルアンスペクトルを取得することができ,国内外学会での成果発表を実施できたため,「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
生体組織におけるブリルアンスペクトルの取得に成功したため,令和5年度はこれをイメージング計測に拡張する.具体的には,はじめにNASHモデルマウス肝臓組織の脂肪滴について,脂肪滴内の粘弾性率の空間分布や異なる脂肪滴間の力学特性の違いについて調査する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:測定試料について実際のシステムとの兼ね合いを実験にて検討した結果,新たな試料準備の方式を採用することが必要となったため. 使用計画:試料準備に要する費用を次年度研究費と併せて使用する予定である.
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