目的:スマート衣服による日常生活中の生体情報モニタリングを実現することで,月経に関連した体調変化を見える化し,月経随伴症状の治療や緩和をサポートする基盤技術を開発する.以下に本年度実施した研究実績の概要を記す. 1. 女性の実世界計測:昨年度から継続して,労働中のみならず睡眠時や在宅時などの日常生活中の連続計測を実施し,計測対象と測定環境の規模拡大を行った.当初の予定では実世界データ計測は,数か月の予定であったが,長期的に計測できる体制を整えたことで数年にわたる計測が実現した.年単位での計測により,女性の年周期の体調変化,生体情報との関連性の分析が可能となった. 2. 生体情報に基づく体調評価指標の開発:心拍数,加速度,衣服内温度,環境情報を用いて開発した指標を用いることにより,日常生活中に計測した生体・環境情報と女性の主観的体調感や疲労感に関連性があることを確かめた. 3. 月経随伴症状に影響を与える生活習慣の特定:現在,個人で行う月経周期の管理法として,主に婦人体温計による計測が活用されている.本研究では,スマート衣服により計測した生体情報を用いることで,簡易的に月経周期を評価する手法の確立を目指している.本年度は,昨年度に引き続き月経パターンと計測した生体情報に関連性を検討し,さらに月経による体調不良と生体情報の変化や生活習慣との関連性を検討した.
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