本申請課題では、細胞の標的化を実現する新たなアプローチを確立することを目的とし、合成高分子ならびに細胞膜上の運動性が低下した水和水量に着目した研究を推進した。従来、細胞レベルでは標的とする細胞群に高発現が認められる抗原に対するリガンドの使用、組織レベルでは癌組織間隙の拡張に伴う透過性の向上を利用した方法が広く研究されている。本研究では、細胞膜上に発現する特定の抗原ではなく、細胞膜を構成する分子組成に起因した水和水の差を指標として細胞選択性を実現した。癌治療に対する材料設計において、細胞標的化を達成するための新規パラメータとして貢献するものと期待される。
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